独学力#3
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学校や塾での勉強と違って自分で学ぶことを決めなければならない独学は、始める際のハードルが高い。だが、脳の特性を利用すれば、誰でも気軽に始めることができるのだ。特集『あなたの人生を変える!「独学力」』(全10回)の#3では、「人間の脳は、努力すれば何歳からでも成長する」と断言する東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授に「脳の新常識」と脳の性質を利用した効率のいい勉強法を伝授してもらう。

「週刊ダイヤモンド」2017年10月7日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

脳科学者が伝授する究極の勉強法
独学のハードルを下げよう

 もういい年だから勉強なんて無理――。勉強を始める前から「できない理由」ばかり挙げて言い訳する人がいる。しかし、脳科学の進歩によって、これは真っ赤なウソであることが分かってきた。

「人間の脳は、努力すれば何歳からでも成長する」。東北大学加齢医学研究所教授で脳医学者の瀧靖之氏は、そう断言する。「知りたい」「学びたい」「達成したい」といった意識を常に持っている人は、脳の機能が保たれることが明らかになっている。

 つまり、脳が衰えるから勉強ができないというのはウソで、勉強をしないと脳が衰えるというのがホントなのである(下図参照)。

 ほかにも脳に関する常識のウソがある。「脳の力は生まれつきで変えることはできない」というのもその一つだ。人間の脳は後ろ(後頭葉)から前(前頭葉)の方に向かって成長とともに発達する。子どものころに発達する後ろの方は、視覚、聴覚、運動能力などをつかさどっており、遺伝的な影響が8~9割も出てくる。

 一方、考える力や判断力、コミュニケーション力など大人になって発達する脳の前の方は、遺伝の影響は50%程度に限られており、「50%は環境や意欲によって後天的に決まってくる」(瀧教授)。

 もう一つ、脳についての意外な真実が「脳は、実は勉強好き」というものだ。

 われわれは普段勉強するとき、「させられている」と感じることが多い。しかし、「脳はそもそも、やる気に満ちている器官で、生まれた直後から新しい情報や知識を求めており、大人になってもその性質は変わらない」と瀧教授は指摘する。

 こうした脳の新常識から導き出される結論は、「脳はそもそも勉強好きなので、人は何歳からでも勉強することが可能であり、勉強することによって脳は成長する」ということだ。

 つまり、大人になってからの勉強は良いことずくめで、始めない手はないということになる。