今、日本では空前のサウナブームが起きています。
芸能人や著名な経営者にも「サウナ好き」を公言する方が増え、また身近なビジネスパーソンで、精力的に仕事をこなすトップエリートと呼ばれる男女がこぞってサウナに通っています。なぜ、仕事ができる人は、サウナにハマるのでしょうか?
サウナを初めて科学的エビデンスに基づいて解説し話題の書「医者が教えるサウナの教科書」(加藤容崇著)より、最新研究に基づいたサウナの脳と体に与える効果と、ビジネスのパフォーマンスを最大化する入り方を、抜粋して紹介していきます。サウナを利用する際には、きちんとコロナ対策を行なっている施設で、皆さん自身も万全の対策を行って楽しんでください(「医者が教えるWithコロナ時代の「サウナの入り方」10ヵ条とは」も参考に!)。また、日本サウナ学会のHPでは、コロナ対策をきちんと行っているサウナ施設のリストを公開していますので参考にしてください。

【サウナの科学】<br />サウナに入る人は<br />免疫力がアップし<br />風邪をひきにくくなる!Photo: Adobe Stock

 意識が高いビジネスパーソンは、自分の体調を管理するために、様々な努力をしていることでしょう。

 こうした、普段の体調管理にも実はサウナが役立ちます。サウナには、免疫力を上げる効果があるからです。

 サウナに入ると、本書でも詳しくお話しているようにHSP(ヒートショックプロテイン)が出ます。HSPは、熱でダメージを受けた細胞を修復しますが、その細胞には、免疫細胞も含まれています。だから、免疫細胞が修復され活性化します。その結果、免疫力が上がり、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりにくくなるのです。

サウナに入ると50%も風邪にかかる率が低下

 少し前の研究になりますが、1990年にオーストリアのウィーン大学が、サウナと感染症にまつわるユニークな論文を発表しています。

 50人の対象者を2グループに分け、25人は週に2回以上サウナに入るグループ、残りの25人はサウナに入らないグループとして、両グループの風邪の罹患率を6ヵ月間にわたって調査したというものです。

 すると、サウナに入る人はそうでない人に比べて、約50%も風邪にかかる率が低かったそう。しかも、前半の3ヵ月間は、両者が風邪を引く確率はあまり変わらなかったけれど、後半の3ヵ月間は大きな差が現れたそうです。

 これは、サウナを日常に取り入れたことで、免疫力が上がったと考えられます。サウナに入ると仕事のパフォーマンスが上がるうえ、パフォーマンスを最大限発揮できる体もキープできるというのは、ビジネスパーソンにとって朗報だと思います。

 とはいえ、現状は、新型コロナウイルスの感染も心配ですよね。サウナでのコロナウイルス感染は大丈夫なの?という方のために、日本サウナ学会では対策済みの施設リストをYouTube動画付きで日本サウナ学会のHPにて紹介しています。ぜひご参考にしてください。さらに皆さん自身も万全のコロナ対策を行って、安全にサウナを楽しみましょう(こちらも参考に!)

監修 慶應義塾大学医学部特任助教・医師 加藤容崇先生
北海道大学医学部医学科を経て、同大学院(病理学分野専攻)で医学博士号取得(テーマは脳腫瘍)。北海道大学医学部特任助教として勤務したのち渡米。ハーバード大学医学部附属病院腫瘍センターにて膵臓癌研究に従事。帰国後、慶應義塾大学医学部腫瘍センターや北斗病院など複数の病院に勤務。専門はすい臓がんを中心にした癌全般と神経変性疾患の病理診断。

加藤容崇先生、かとうやすたか先生
加藤容崇(かとう・やすたか)
慶應義塾大学医学部特任助教・日本サウナ学会代表理事
群馬県富岡市出身。北海道大学医学部医学科を経て、同大学院(病理学分野専攻)で医学博士号取得(テーマは脳腫瘍)。北海道大学医学部特任助教として勤務したのち渡米。ハーバード大学医学部附属病院腫瘍センターにて膵臓癌研究に従事。帰国後、慶應義塾大学医学部腫瘍センターや北斗病院など複数の病院に勤務。専門はすい臓がんを中心にした癌全般と神経変性疾患の病理診断。
また、病理学、生理学にも詳しく、人間が健康で幸せに生きるためには、健康習慣による「予防」が最高の手段だと言うことに気づき、サウナをはじめとする世界中の健康習慣を最新の科学で解析することを第二の専門としている。サウナを科学し発信していく団体「日本サウナ学会」を友人医師、サウナ仲間と作り、代表理事として活動中。『医者が教えるサウナの教科書』(ダイヤモンド社刊)が初めての著書となる。