日本の半導体関連部材の技術は
日本経済の宝

 わが国の半導体部材関連の企業にとって、中国市場の重要性は高まるだろう。半導体関連部材の市場において、信越化学工業のシリコンウエハーや、村田製作所のセラミックコンデンサなど、わが国企業のシェアは高い。

 その理由は、分解できず、簡単にまねができないからだ。各企業は、原材料のレベルから高純度かつ微細な素材(製品)を生み出すことに取り組み、世界各国の企業から必要とされる立場を確立してきた。半導体関連部材の企業の実力は、わが国経済の宝といえる。

 半導体部材関連の企業が、米国からも中国からも必要とされ、より多くの収益を獲得するためには、わが国政府の能動的な取り組みが必要だ。なぜならわが国企業を取り巻く事業環境は、米中の覇権争いをはじめ、各国政府の利害に大きく影響される側面が強まっているからである。

米中の激突が先鋭化する中、
日本はどうすべきか?

 今後、米国は、中国の半導体自給率の向上を食い止めるために、制裁を強化する可能性がある。米国の圧力を跳ね返すために、中国はSMICなどへの支援を強化し、国家資本主義体制を強化するはずだ。また、中国は国際社会における孤立を防ぐためにEU(欧州連合)との包括的投資協定を結ぶなど、既成事実をつくろうとしている。

 米国の自由資本主義体制と、中国の国家資本主義体制の激突が先鋭化していく中で、わが国はどうすべきか。まずは、安全保障体制の確立のために、米国との信頼関係を強化し、その上で、アジア新興国やEUとの関係を重視しなければならない。

 経済面では、多国間の連携を強化することが長期の社会と経済の安定に必要、との見解を共有すべきだ。特に、わが国が過度な補助金や、技術の強制移転の禁止をはじめ、TPPの考えをより多くの国と共有することは、経済面からの「対中包囲網」を整備することにつながるだろう。

 新型コロナウイルスの感染再拡大によって、国内外の社会と経済はかなり厳しい状況を迎えている。わが国政府は集中した感染対策によって国民の安全を守り、さらにはワクチンの供給体制を整えることで、感染の克服と景気回復を目指さなければならない。

 その状況下、口で言うほど容易なことではないが、わが国政府が相応のスピード感をもって国際世論との連携強化を目指すことができるか否かが、半導体関連部材の需要取り込みをはじめ、わが国の社会と経済の先行きに無視できない影響を与えるだろう。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)