「プロ経営者」は、本当にその手腕があるか?

 日本のマスコミなどで名前の出る「プロ経営者」と呼ばれる方の中には、有名な外資系企業のマネジメント経験者というブランドのついた方がいます。

 外資系企業のトップのポジションにいた方はイメージも良く、英語を駆使することができ、事業オーナーの立場となる本国の親会社との折衝がうまく、当期の数字を作る技術(テクニック)に長けていることが多いものです。

 ところが、着任中は数字を上げていたとしても、将来を見据えて組織を育てるという視点では、むしろ大きな負の遺産を残していることもあり、その後の処理や対応に優秀な人材のマンパワーを多大に投入して修復しなければならなくなった事例も見かけます。

 多くの場合、ヘッドハンターたちは達成すべき予算を負っています。それゆえに、時には適切ではない人材のマッチングであることに気が付いていても、クライアント企業が良いと言うならと目をつぶり、採用を薦めるケースもあります。

 大手のヘッドハンターの中には、このような事態を防ぐために、ヘッドハンターに数値責任を負わさないエグゼクティブ・サーチ・ファームもありますが、残念ながらそういう評価体系を実践しているところは少数です。

 米国のように、プロフェッショナル経営者や幹部の人材市場が活発に動いていて、かつ採用する企業側もある程度、過去の採用の失敗事例から得られた経験則を持っていれば別ですが、日本企業の多くはまだ、そのような学習が十分になされているようにも思えません。