現代人の脳には“毒”が溜まっている!
無意識に溜まった脳の“毒”を出して

脳がみるみる若返る食事法を紹介する
脳の若返りと認知症治療の専門医・白澤卓二医師が提案する衝撃の最新刊『脳の毒を出す食事』では、現代人の脳に溜まった毒を出し、脳の機能を上げる食事法を紹介している。
現在、認知症患者数は増加の一途。その発症を避けるには、40代からの脳のケアが大切だと著者はいう。本書では世界最新の医学で明らかになった認知症予防・改善策と、その研究からわかった脳のパフォーマンスを上げるために必要な食事を提案する。

認知症患者が急増!<br />コロナ禍で疲れた<br />脳を救う食事とは?Photo: Adobe Stock

現代人の脳には“毒”が溜まっている!
それは脳画像を見ればわかるほど明らかな事実だった

皆さんは『脳の毒を出す食事』というタイトルを見て、どんな印象を持たれたでしょうか。「えっ、私の脳にも毒が溜まっているの?」と驚いた方もいらっしゃるでしょう。

残念ながら、現代人の脳には“毒”が溜まっています。それは脳内を撮影した画像を見ればわかるほど明らかな事実です。そして脳に溜まった毒は、すぐに病気に発展しないまでも、脳が本来の力を発揮しにくい状態を作っています。

脳は人体の中枢として、異物が入り込むことのない強固な壁に厳重に守られているというのが常識でした。ところが2019年、あろうことか「アルツハイマー病患者の脳内で歯周病の原因菌(ジンジバリス菌)が発見された」という論文が発表されたのです。これは医学界に大きなインパクトを与えました。なぜなら、脳の守りは鉄壁ではなく、わずかなすき間からでも、毒となる異物が侵入する可能性があるということを示しているからです。

脳の毒が引き起こすもっとも深刻な病気のひとつにアルツハイマー病があります。私が監修を手掛け、日本でもベストセラーになった『アルツハイマー病 真実と終焉 “認知症1150万人”時代の革命的治療プログラム』(ソシム)の著者であり、アルツハイマー病などの神経変性疾患の世界的権威、デール・ブレデセン博士は、脳に毒が入ってしまう要因を3つ指摘しています。

1 炎症(感染・食事または他の原因による)
2 栄養不足(補助的な栄養素、ホルモン、その他脳の栄養)
3 毒素(金属やカビなどの微生物が産生する生物毒素など)

アルツハイマー病の直接的な原因はまだ解明されていませんが、脳になんらかの毒物が入ると、それと戦うために脳にアミロイドβという物質が溜まり、その影響でタウタンパク質が発生して、神経細胞が機能障害を起こすと考えられています。

脳の毒は、食事を変えることで減らせる

脳に毒が溜まることを前提に、すでに溜まった毒を解毒し、できるだけ脳に毒を入れないようにすれば、私たちはアルツハイマー病をはじめとする脳の不調や病気を避けられるはずなのです。そしてそれは食事を変えることで実現可能です。

「食事を変える」と文字にするのは簡単ですが、長年続けてきた食べ方を変えるのは、実際のところ難しいことかもしれませんね。私自身、いまでは脳の毒を出す食事を日々実践していますが、これも、健康長寿の研究を続ける中でさまざまな食べ方に出合うたびに、少しずつ変更を積み重ねてきた結果です。

私の食事法の探求の歴史は20年ほどに及ぶでしょうか。その方法のおかげで、60代になったいまも、体型は昔と変わらず、目覚めた瞬間からベッドに入るまで脳がフル回転しています。週に数回はメキシコ人医師と英語で会議を行い、オーガニックファームも拡大し続けています。毎年、アンチエイジングキャンプを開催したり、介護付き老人ホームを開設したりと次々に夢を叶えています。食事を変えることは、体を健康にするだけでなく、頭も冴えて、したいことを実現する原動力を生み出してくれるのです。

本原稿は、白澤卓二著『脳の毒を出す食事』からの抜粋です。この本では、認知症など脳の機能不全の原因となる、現代人の脳に溜まった”毒”を出して究極の健康体になる食事法の提案と、実生活で使える7日間実践レシピを掲載しています。脳と体を健康にし、本当の意味での健康長寿を目指してみませんか?(次回へ続く)

監修 お茶の水健康長寿クリニック院長 白澤卓二先生
1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。現在、お茶の水健康長寿クリニック院長。
認知症患者が急増!<br />コロナ禍で疲れた<br />脳を救う食事とは?

白澤卓二(しらさわ・たくじ)
医師、医学博士
1958年神奈川県生まれ。1982年千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。1990年同大学院医学研究科博士課程修了。東京都老人総合研究所病理部門研究員、同神経生理部門室長、分子老化研究グループリーダー、老化ゲノムバイオマーカー研究チームリーダーを経て、2007年より2015年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座教授。2017年よりお茶の水健康長寿クリニック院長、2020年より千葉大学予防医学講座客員教授就任。日本ファンクショナルダイエット協会理事長、日本アンチエイジングフード協会理事長、アンチエイジングサイエンスCEOも務める。
専門は寿命制御遺伝子の分子遺伝学、アルツハイマー病の分子生物学、アスリートの遺伝子研究。