常に「カイゼン」を重ねていくことが「法治」の前提になる

「和を以て貴し」が根底にある日本企業では、善意の前提のもとで忖度(そんたく)を行い、皆が粛々と仕事を行います。この背景のもとではその仕事の仕方、手順、担当範囲の最適化を進めることが、組織力を高める一番の方法になります。すべてのルールや決め事には、それが適応できる前提が存在します。

 そしてそれが十分に明らかになっていないがゆえに、全ての決めごとやルールは常に不完全であり、「カイゼン」の余地があって当たり前なのです。

 常に、様々な業務の仕方に「カイゼン」を重ねていくことが、ここで言う「法治」の前提になると言えます。

 トヨタでは、業務のルール、手順の「カイゼン」をトヨタの創り上げた思想、ものづくりの考え方に則って、全社で理解して行う、「全員参加の経営」を標榜しています。

 このことからも日々の業務の見直しの推進と指導が各職位のレベルでなされる土俵づくりが、経営の役割であるという前提がトヨタにあることがわかります。

 これは、「人治」と「法治」のどちらかを選ぶという話ではありません。