30年もインフレが起こらなかった珍しい国

 では、日本がこれからインフレに向かう可能性はどれくらいあるのでしょうか。

 これも既知だと思いますが、日本は過去30年以上にわたってずっとインフレを経験していません。

 余談ですが、私は小学生のころに日本で暮らしていたことがあります。

 そのときに大好きだったお菓子が「グミ」です。当時、確か1袋100円くらいだったと思います。

 その後、アメリカへ行き、大学を卒業し、ウォール街で働き、世界を転々とし、2019年に日本に戻りました。

 久しぶりにスーパーマーケットで「グミ」の値段を見てみたら、当時と同じ1袋100円でした。

 グミだけですべては語れませんが、これだけ長期間にわたってインフレがない国は世界的にかなり珍しいといえます。

 インフレを経験していなければ、「現金の価値が下がる」という意識を持ちにくいので、日本人が投資より預金を好むのもうなずけます。

 投資する必要性を感じにくいのも、「現金が一番安全」と思ってしまうのも、30年に及ぶインフレが起こらなかった期間のなかで醸成されてきた国民性であり、マインドセットなのだと思います。

投資をしないことがリスクになる

 ここで考えたいのは、30年間にわたってインフレが起こらなかったからといって、今後も同じ状況が続くとは限らないということです。

 インフレのリスクに備えるためには、現金の一部をモノに変えておく必要があります。

 モノとは、インフレのときに値上がりしやすい、株、不動産、貴金属などです。

 インフレによって現金の価値が下がっても、インフレで価値が上がる株などを持っていれば、資産総額は維持しやすくなります。

 ただし、インフレで値上がりが期待できる投資商品の中でも、私が勧めたいのは、やはり金です。

 というのも、株や不動産は景気の影響を受けるため、インフレリスクの対策にはなりますが、その一方で景気変動のリスクを取らなければならなくなるためです。