第1位:イヤフォンを絡ませるマシーン
──では、第1位は?
藤原 第1位は「イヤフォンをからませるマシーン」です。
アイディアって、何かストレスを減らす方向で考えるのがストレートな考え方だと思うんですが、これは「逆にストレスを増やす」という発想で考えたものです。
──たしかに純粋かつシンプルに無駄なアイディアですね。
藤原 でもワークショップでこの作品を展示すると、子どもがイヤフォンを持ってきて「ボクのイヤフォンもからませたい」って言ってくるくらい、すごい人気なんです(笑)。実際にマシーンを動かして、イヤフォンをからませてあげるとすごく盛り上がるので、つくって良かったなと思います(下記参照。音が出ます)。
Making TANGLED Earphones Machine
— 藤原 麻里菜 | Marina Fujiwara (@togenkyoo) December 15, 2018
イヤホンを絡ませるマシーン
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――「純粋に無駄なもの」を考えることで、そんなに喜ばれることになるとは面白いですね。
合理性とは正反対のことを考えていると、そこからまた別の価値が意味や価値が生まれていくということがあるんです。でも、これはもうちょっと改良するつもりです。
──どうされるんですか?
藤原 いまはモーターを使っているので洗濯機みたいな感じなんですけど、歯車でまわしてみたくて。「ピタゴラスイッチ」とか、遊園地でコインを入れたら記念コインに替わって出てくる機械みたいなイメージで、イヤフォンを入れたら機械を通っていってコードが絡まったイヤフォンが出てくるような作品をつくりたいです。
世界を「変なもの」でいっぱいにする
――ベスト3、ありがとうございます。藤原さんが無駄づくりをはじめて8年ほど経ちますが、いまは一日何時間ほど作品づくりをされているのでしょうか。
藤原 朝6時くらいに起きてご飯を食べて、アトリエに移動して、そこから夜8時くらいまでずっと何かつくったり考えたりしながら作業しています。自分が好きなものやあったらいいなと思うものを考えてつくって、というのを繰り返している時間がほとんどですね。
無駄づくりをやっていて思うのは、合理性とか効率とか関係のない、本当にどうでもいいことにも価値があるということです。YouTubeでも、ゴミ屋敷の清掃業者の動画がすごい人気だったりしますよね。私もついつい見ちゃうことがあるんですけど、家の中がきれいになっていく過程を見るのは、それだけで本能的に気持ちいいものがあります。
――モノを食べて咀嚼するだけの動画とか、朝起きて出勤するまでのルーティン動画の再生数の多さを知ったときは、そういうニーズもあるんだ!とびっくりました。
藤原 そうなんですよね。ですから『考える術』が、いままで見過ごしていた面白いものや、見方を変えれば新しく見えるものに気づくきっかけになればいいなと思っています。
ワークショップをやると、真面目なビジネス関係の方でも、びっくりするくらい変なことを考えはじめたりするんですよ。みんなの中には、いろんな変なアイディアが眠っていると思うんです。ぜひみんなで変なもの、面白いものをいっぱい誕生させて、もっと楽しい世の中で楽しく生きていけたらなと思っています。
【大好評連載(全5回)】
第1回 「頭のかたい人、柔らかい人」の決定的な3つの差
第2回 「頭の柔らかい人」がしている4大習慣
第3回 【必見】「史上最高に無駄な発明」ベスト3
第4回 「頭の柔らかい人」は知っている3大発想法
第5回 【藤原麻里菜】ネガをポジに反転させる思考法