【その2】「五感」を切り口に考える

藤原 たとえば、朝早く起きるのが苦手な人ってたくさんいますよね。それを解決したのが「目覚まし時計」というアイディアですが、その解決の仕方は、人によっていろいろです。

 私は使ったことはないですが、とにかく絶対に起こせるという爆音の目覚まし時計というものがあるようです。それは「聴覚」を刺激するアイディアですが、五感の他のものを刺激することで問題解決ができるかもしれない

 光で起こす光目覚まし時計は「視覚」を刺激して問題解決しています。ブレスレットから微弱な電流を流して起こす、「触覚」への刺激を利用した目覚ましもあります。

 だったら、設定した時間になると臭い煙が出て「嗅覚」を刺激して起こすとか、時間になったら苦い液を口に流し込んで「味覚」を刺激するなんてアイディアも考えられます。

「頭の柔らかい人」は知っている3大発想法

――味噌汁の匂いと包丁のトントントンという音がして、誰かが朝食をつくっているように五感を刺激する「一人暮らし用目覚まし時計」もすごいアイディアだと思いました。

「頭の柔らかい人」は知っている3大発想法『一人暮らし用目覚まし時計』
起きる時間になると、電子音の代わりに野菜を切る包丁の音がして、味噌汁の香りが漂う。(『考える術』より)

藤原 心理的に追い詰めて起きられる方法はないかと考えたアイディアもあります。「会社に『起きられませんでした』とメールする目覚まし時計」です。

 時間内に目覚ましを止められなかったら、信号が飛んで、サーバーを経由して、勤めている会社の社員全員に、「本日、私は目覚ましが止められませんでした」というメールが送信されるというものです。

 日常生活の悩みや困りごとは人それぞれですし、自分がうれしいことや嫌なことも人それぞれなので、その違いが差を生んで面白いアイディアが生まれてきます。

 自分の半径1メートル以内にヒントがなければ、他人の日常生活の悩みもヒントになります。ツイッターで「困った」「めんどくさい」とかで検索すれば、いろんな困りごとが見つかります。

 たとえば「朝、通勤前に髪を洗って乾かすのが面倒くさい」ってつぶやいている人がいたら、そこから、どうすればその面倒さから解放されるかと、勝手に解決策を考えてみると想像がふくらみますよね。