英単語はそこそこ知っている。文法もそれなりに分かる。にもかかわらず、英語が聞こえない、通じない、会話が続かない日本人が多いのはなぜでしょうか? 国際ヘッドハンティング会社のアジア支社長を務め、現在、シンガポール国立大学で世界の留学生たちに英語コミュニケーション術を教える著者は、その理由を「日本人の英語の勉強法が間違っているから」だと言います。香港生まれで、東京外国語大学の日本語学科を首席で卒業した著者は、「日本語の言語学的特性」を熟知した上で、日本人が最速で英語を身に付ける方法を考案し、これまでに多くの日本人をペラペラにしてきました。そのメソッドを初公開した話題の書が「7時間で英語が突然ハッキリ聞こえて会話が続く本」です。本書の中から、カタカナ英語と中学英語だけで、驚くほど会話がはずむようになるコツをお伝えしていきます。
リエゾンが分かれば英語がみるみる聞こえ出す
英語ネイティブの人と会話をしていて、聞き取りにくい理由の1つが、このリエゾンです。以前の回でもお伝えしたように、日本語は「拍」を意識して話すので、音と音がつながることがあまりありません。
しかし、英語は、隣の音とつながることで、本来の単語の切れ目がなくなってしまったり、音が消えてしまったり、あるいはスペルとは別の音のように聞こえたりすることがあります。
また日本人は学校で教わる英語でも、単語ごとにしっかりと切った発音を習っているので、音が連結した時には、簡単な英文であっても、何を言っているのか分からなくなってしまうのです。たとえば、
「|イ|ソ|ケ|」
こんなふうに聞こえてきた時に、元の英文が分かりますか?
正解は
It’s okay. |It|’s o|kay.| |イ|ソ|ケ| (大丈夫だよ)
です。
前の単語が子音で終わっていて、次に来る単語の最初が母音である場合、たいていリエゾンが発生します。
It’s okay.の場合「s」で終わる単語の後に、次の単語の最初の文字が「o」なので「s+o=so」という連結音ができて発音は「ソ」になります。「s+母音」の他の例も見ておきましょう。
That’s amazing! |That|’s a|ma|zing!|
それは、すごい! |(th)ェア(t)|サ|メイ|(z)イ(ng)|
What’s up? |What|’s up?|
調子はどう? |ウォ|サ(p)|
What’s happening? |What|’s hap|pe|ning?|
どうしましたか? |ウォ|サ|ペ|ニ(ng)|
*「s+h+母音」の時もリエゾンが発生します。
まさか「ウォサペニ」が「What’s happening?」だなんて、リエゾンを知らなければ想像もできませんよね。単語の切れ目が分からなくなると、中学英語レベルの簡単な短文でさえ聞き取れなくなってしまいます。上記のように、be動詞であるis(’s)の後に、母音が来て、音がつながる例はとても多いので、sと母音がつながると意識しておくだけで、聞き取り力は劇的にアップします。