時代感覚にすぐれた人ほど絶賛する
「四世界図」とは?

──それ以外に、佐宗さんのところには、どんな読者からの感想が届いていますか?

佐宗:たとえば、山口周さんとか、デザイン・イノベーション・ファーム「Takram」代表の田川欣哉さん、サッカー元日本代表監督の岡田武史さんなど、先進的な人たちに響いたのは、本の最初に載せた「四世界図」です。

 MIT(マサチューセッツ工科大学)教授の石井裕先生にも、「共振する部分がかなりあります」とメッセージをいただきました。石井先生は、本書の核にもなっている「ビジョンドリブン(Vision-driven)」という概念を以前から提唱されている方ですから、個人的にはものすごくうれしかったですね。

 時代感覚の鋭い「玄人」ほど、「この『四世界図』のイラストに、創造的な思考法のすべてが凝縮されている!」「自分が感じてきたことにぴったり重なる!」と言ってくださいますね。

 創造とロジックの世界を往復してきた方々から、こうやって好意的なコメントをたくさんいただけたのは、この「四世界図」のおかげだったんじゃないかなと誇りに感じています。

──このような絵を描くという行為それ自体が、本書のテーマである「直感と論理をつなぐ」をそのまま実践しているようなものですよね。

佐宗:それは本書の編集担当である藤田さんにも言っていただきました。この本は当初の企画構想から刊行までに4年かかっているのですが、藤田さんが「この企画はいけますよ!」と言ってくださったのも、この絵を初めてお見せしたときだったんですよね。

 僕も「直感と論理をつなぐ」というテーマの本を出す以上、著者自身がその概念を体現できていないとダメだなと思っていましたから、この絵が1つの大きなブレークスルーポイントになったのは間違いないですね。

──この絵は、ビジネスや実社会を表す「地上の世界」と、個人の内面的な探究プロセスを表す「地下の世界」に分かれていますよね? どんなふうにイメージを固めていったんでしょうか?

佐宗:この本のテーマは、「『自分にしか見えていないもの』をどうやって世の中に提起していくか」です。しかし、これを文章だけで伝えようとすると、どうにもうまくいかないというジレンマがありました。

 もっといい方法はないかと模索するなかで、出来上がったのがこの絵です。最初にノートに手描きしてみた時点で、少なくとも自分のなかでは矛盾がないという手応えがありましたね。

 最初にあったのは、「現実」と「内面」というパラレルワールドの構想でした。自分にしか見えないものを見ているビジョナリーな人は、「現実世界とは異なる自分だけの世界」を見ている、というイメージはもともとあったんです。

 そしてそれは、どちらかというと、地下にあるような暗い世界だなあというところから、このような形に落ち着いていきました。価値が明確な地上の世界と、価値が自明ではない地下の世界──。「妄想・知覚・組替・表現」というフレームワークは以前から考えていたので、それを地下世界に当てはめることで、この「四世界図」が完成したという流れですね。

──本を読み終えたあとに、改めてこの絵を細かく見ていくと、本当に1つの世界観のなかで、本書の全体像が見えてくるようになっているのが素晴らしいなと思いました。

佐宗:ありがとうございます! けっこう難しい本だと思われがちなんですが、さきほどのイラストのような世界を舞台にしながら、思いっきりわかりやすく書いた本なので、ぜひ多くの人に楽しみながら読んでもらいたいですね。

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第2回 「アイデアが全然伝わらない人」と「すぐに“それいいね!”と言われる人」を分ける決定的な差
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