バブル相場の正体#9Photo:Xinzheng/gettyimages

2021年、世界経済再起動のエンジンと目される中国経済。中国株の動向も、経済政策次第である。習近平政権はどのような政策を打ち出すのか?特集『バブル相場の正体』(全12回)の#9は、今年以降の中国経済の政策動向を個人投資家にも分かりやすく、国際経済研究所の伊藤信悟主席研究員が解説する。(構成/ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)

コロナ禍でも中国だけが
なぜプラス成長できたのか

 世界がコロナ禍に苦しむ中、中国の国内総生産(GDP)は2020年に2.3%の成長を遂げた。中国政府が自負するように、中国は「世界で唯一プラス成長を遂げた主要経済体」となった。四半期で見ても、中国の実質GDP成長率は新型コロナウイルスの感染拡大に苦しんだ20年1~3月期こそ前年同期比6.8%減と大幅なマイナスとなったが、同年10~12月期には6.5%増にまで回復している。

 21年に入り、局所的なクラスター感染の発生の影響で、購買担当者景気指数(PMI)が弱含んでいるものの、景況感の良否の境目である50は上回っている状態にある。

 中国が他国に先んじて回復した最大の理由は、コロナまん延の早期抑制に加えて、大規模な景気刺激策を行ったことにある。

 コロナ後の中国の景気刺激策の規模は、日米欧と比べ控えめではあったが、それでも財政政策だけで対GDP比5.8%の規模に達した(出所:国際通貨基金)。また、対GDP比約9%もの規模の金融支援策も景気を支えた。金融機関からの企業・政府・家計の借入残高(「社会融資総量」)の伸び率は、19年の10.7%から20年には13.3%へと大幅に上昇した。