100ある甘そうな話から、
99を断るための理論武装が必要

 それは一次情報を取る、といったりするもので、間に入ってくる多数の業者の歪曲された情報や友人、知人、家族や親(実はかなり関与してくる)ではなく、自身で集めたファクト(事実)ベースの情報だ。

 この普遍的な姿勢は、ハーバード大学院のケース・スタディ方式の授業でも、必須の姿勢だ。一事例で1時間半のケース授業に参加するためには、少なくとも5時間程度の「Do Your Homework」(自習)時間が必要だ。

 ケースに出てくる不動産の状況を一次情報をもとに分析し、のちに紹介する投資判断のための計算を行い、そして自分なりの結論を準備しておくのだ。授業では生徒全員がケースを読み込み、宿題をこなしてきた前提で活発な議論がなされる。

 自分で投資判断をしなくてはならないし、その根拠を示して、反対意見をいってくる同級生に対抗しなくてはならないのだ。ケース授業は、所詮は授業だから宿題をしなくても、せいぜい教室で恥をかき、評価が下がる程度で済む。

 しかし、実際の投資の現場ではどうか?

 もし、自身がやるべき宿題、いいかえると下調べができておらずに、たまたまローンが組めたからと物件を買ってしまったらどうなるだろうか。買った瞬間に評価損が出てしまったり、空室が20%出ただけでローン後キャッシュフローがマイナスになり、毎月の給与所得から補填する事態になるかもしれない。そうなったら背筋も凍る状況だろう。

 実際に、この手の物件を買わされたサラリーマンは、僕の周りにも大勢いた。

 しかし、もし自身で宿題をこなし、簡便でも最低限、投資判断の計算をし、マーケット調査も行っていたら、この手の情報はまっ先に断れるはずだ。

 生き残れる不動産投資家になるためには、100ある甘そうな話から99を断るための理論武装、そして本当に価値のある1を選び抜くための消去法テストに合格しなくてはならない。

 それができれば、間違いなくあなたはメガ大家(クリエイティブ大家)への道を歩むための姿勢と知識を身につけたことになる。

 では、次にミニ・テストとしてのケース・スタディを示すので、まずはウォーミング・アップだと思って一緒に考えてもらいたい。この投資物件に、あなたならゴーサインを出すだろうか?

上田真路(うえた・まさみち)
建築家・不動産投資家
KUROFUNE Design Holdings Inc. 代表取締役CEO
ハーバード大学デザイン大学院で不動産投資と建築デザインを学び、投資理論とデザインの力を融合させたユニークな不動産投資を行う。
鹿島建設入社4年目に不動産投資を開始。数々の不動産投資セミナーに足を運び、不動産関連書籍を数十冊読破。そんな中で出会ったメガ大家集団をメンターに持ち、指導を仰ぎながら不動産投資をスタートする。最初に行った東京・神楽坂での新築マンション開発では超狭小地に苦労し、辛酸を舐めつつも独自の不動産投資スタイルを確立する。現在5棟の超優良物件を保有。保有物件の中では投資額が4年間のうちに26倍になったものもある。
1982年高知県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科、同大学院卒業後に鹿島建設入社。
大学院卒業時にリゾートホテル開発プロジェクトにより早稲田大学小野梓芸術賞を受賞。
同社では国内外で建築設計や大規模な都市開発業務に従事。鹿島建設社長賞、グッドデザイン賞、SDレビュー賞などを受賞。2016年、ハーバード大学デザイン大学院(GSD)へフルブライト留学。2018年、GSD不動産デザイン学科を卒業、外資系不動産ファンドでの投資業務を経験した後、KUROFUNE Design Holdings Inc.(デザイン事務所兼不動産ファンド会社)を創業し独立。現在はハーバード学生寮生活で得た原体験をもとに、住まいと学びを融合させた国際学生寮「U Share」を開発運営する。また、慶應義塾大学SFC特任講師、早稲田大学特任講師として「不動産デザイン」について教えている。