ノーベル賞を外される

 しかし、「核分裂の発見」に対するノーベル化学賞はハーンにのみ与えられ、マイトナーは外された。それでも、ほとんどの物理学者たちは、マイトナーが科学の世界において成しとげた偉大な功績を正しく認識している。

 マイトナーは、戦時中、スウェーデンに留まり、原子核研究を続けながら若い研究者の養成にあたった。今日この研究所はマイトナー研究所と呼ばれている。一九四七年には、ベルリンの元の職場に復帰するように招かれたが、ハーンとシュトラースマンの懇願にかかわらず、その申し出を断った。

 アメリカの原爆開発・製造のための「マンハッタン計画」に誘われたマイトナーは参加を固辞したという。彼女の墓には「人間性を失わなかった物理学者」と刻まれている。死後、彼女にノーベル賞受賞以上の名誉が与えられた。彼女の名から一〇九番元素はマイトネリウムと命名。その他、小惑星、金星や月のクレーターにも名前を残している。

※本原稿は『世界史は化学でできている』からの抜粋です)

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