「お金持ちになるにはどうしたらいいのか」という疑問にこの連載ではいろんな角度から答えを示していきます。お金持ちなら誰でも知っている秘密を明かしていきます。
その疑問の答えにたどり着くには「お金」「経済」「投資」「複利」、そして「価値」について知っておく必要があります。少し難しい話も出てきますが、今は完全にわからなくても大丈夫です。
資本主義の仕組みについても、詳しく解説していきます。なぜなら、資本主義の世界では、資本主義をよく知っている人が勝つに決まっているからです。
今後の答えのない時代において、どのように考えながら生きていけばいいのか、ということもお話ししていきたいと思います。さあ、始めましょう!
(もっと詳しく知りたい人は、3月9日発売の『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』(ダイヤモンド社)を読んでください)

為替レートPhoto: Adobe Stock

為替レートとは何か?

よく聞く言葉に「円安・円高」というものがありますね。たとえば、昨日は1ドルを買うのに100円かかったのが、今日は120円になっていたら、「円安になった」と言います。

これは円の価値が相対的に下がったことを意味します。アメリカでコーラが1本1ドルだったとします。昨日は100円で1本買えたものが、今日になったら120円持ってないと1本買えないということになるわけです。これが円の価値がドルに対して下がった(=円安)ということです。

日本人の給料や貯金しているお金は、だいたいが円なので、円安になってしまうと、同じ金額で海外から買えるものが少なくなってしまいます。逆に円高になると日本円で買えるものが多くなります。

実際に1970年代前半に1ドル=250円以上だった為替相場は、1980年代後半には1ドル=120円まで円高になり、当時の日本人はパリやニューヨークなどへブランド品を買いに殺到したのです。

ここ数年はアベノミクス以降の円安政策により、アジア人を中心とした外国人が「爆買い」するために日本に殺到しています。もっとも今は新型コロナで日本に来たくても来られませんけどね。

ではそういった通貨同士の交換比率(為替レート)はどうやって決まるのでしょうか。通貨は信用が命です。為替市場では自由に通貨を売買できるため、中短期的には通貨の需要と供給で大きく変動しますが、長期的には通貨同士の相対的な信用力、つまり通貨発行国同士の信用力で決まります。

たとえばドルと円の交換レートのように、国の信用力が相当に高いもの同士の交換比率 (円・ドルレート)は、ある一定のレベルから外れて円高や円安になり続けることはありません。為替レートは2国間の通貨の購買力によって決定されるからです。たとえばアメリカでは1ドルで買えるハンバーガーが、日本では100円で買えるとすると、1ドルと100円の購買力は等しいので、為替レートは1ドル=100円が妥当だという考え方(購買力平価)です。

先程紹介した1970年代から1980年代にかけての急激な円高は、発展途上国だった日本が高度成長期を経て、先進国の仲間入りを果たしたことで、日本の信用力が上がった結果に過ぎません。

時々「1ドルが50円になる!」とか予言をする人がいますが、私の常識ではそんなことはありえません。もし本当にそこまで円高(100円→50円)になったら、アメリカに行けばハンバーガーが100円で2個食べられるということです。そうなったら私はアメリカに行っていろんなものを買いまくりますね(笑)。

もし本当にそこまでの円高になるとすれば、その時はアメリカの信用力が落ちて後進国になってしまうことを意味します。ですが、その確率は、日本が再び後進国に堕ちる確率よりは低そうです。

参考記事
“GoTo”に群がるさもしい人々
モノの値段が下がり続けると、
なぜ危険なのか?

1ドル=50円のような円高になることはありえない
奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)
京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2007年より「長期厳選投資ファンド」の運用を始める。2014年から現職。日本における長期厳選投資のパイオニアであり、バフェット流の投資を行う数少ないファンドマネージャー。機関投資家向け投資において実績を積んだその運用哲学と手法をもとに個人向けにも「おおぶね」ファンドシリーズを展開している。著書に『教養としての投資『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』(ダイヤモンド社)など。