『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』では、どんなチームや企業にも存在する「組織文化」をテーマに、それを知り、変え、進化させていく方法を紹介しています。「組織文化」とは何か明確に定義できる人は少ないはずです。「「組織文化」、あなたは明確に定義できますか?」「「何が格好いいのか」があなたの会社の組織文化を決めている」「「予算未達」にどう反応するか、そこに組織文化が宿る」に続いて、今回は一人ひとりの「感情」から組織文化を知るアプローチを紹介します。
組織文化は、一般的なべき論で語ってはいけません。
「試合には勝つべきだ」
「売り上げは増やすべきだ」
「ライバル会社からシェアを奪うべきだ」
こうした何となく正しそうなべき論に、組織の中で働く人たちの意思は関係ありません。誰かが決めた「○○すべきだ」という価値観は組織文化ではないからです。
そうではなく、ある事実に対して、組織の中の人たちが感情を揺り動かして思わず生まれた反応に組織文化の一端が表れます。
「試合に負けた」という事実に「悔しい、絶対に勝ちたい」と思うなら、それは勝利にこだわる組織文化の象徴です。
「売り上げアップ」という事実に対して「それができる人は格好いい」と思うのも組織文化といえるでしょう。
「ライバル会社からシェアを奪った」という事実に喜ぶなら、それも組織文化の一端です。
つまり組織文化は、その事実に対して一人ひとりがどのように感情を揺さぶられているのかという現象なのです。
組織文化と聞くと、個々人ではコントロールできない大きなものを想像するかもしれません。しかし組織文化とは、そこに属する一人ひとりの感情の集積なのです。
個人の感情と組織文化は相似関係にあります。
雪の結晶や野菜のロマネスコ、ブロッコリーは、「フラクタル構造」になっています。
フラクタル構造とは、最小単位の形と全体の形が相似形になっている構造のこと。ロマネスコなどと同じように、組織文化もフラクタル構造になっています。つまり事実に対する一人ひとりの反応の集積が、組織文化になっているのです。
組織文化を知ることは、事実に対するそれぞれの人の受け取り方や感情が集積した結果起こる組織特有の意味づけを知るということです。
組織文化を変えるには、そこに属する一人ひとりの反応や態度を解き明かし、言葉や行動を変えることが必要になります。一人ひとりの変化なくして、組織文化は変わりません。
そして個々人の反応を知るために必要なのが、感情や弱みをさらけ出すことです。
(『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』第二章より抜粋、2021年4月3日公開記事へ続きます)
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