『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』では、どんなチームや企業にも存在する「組織文化」をテーマに、それを知り、変え、進化させていく方法を紹介しています。「組織文化」とは何か明確に定義できる人は少ないはずです。「「組織文化」、あなたは明確に定義できますか?」「「何が格好いいのか」があなたの会社の組織文化を決めている」に続いて、今回は「予算未達」に対する反応から、あなたの会社の組織文化を探っていきましょう。

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一つの事実をどう解釈するのか

 組織文化を理解するときに気をつけなければならないことがあります。組織文化とは、成果や結果、表面に出ている何らかの事象そのものではないということです。

「試合に勝った」「売り上げが伸びた」「ライバル会社からシェアを奪った」という事実は、単なる現象でしかありません。

 組織文化を知るときに着目したいのは、こうした事実に組織内の人々がどのような反応を示しているのかという点です。それは同時に、組織内の一人ひとりの心の中にどんな感情が生まれたのかということでもあります。ここに、組織文化が表れます。

 たとえば、ある業界でトップシェアの企業があったとしましょう。その会社は長年トップの座を守り続けていますが、ここ数年は2位の企業にかなり肉薄されている状況です。このようなとき、トップ企業が自分たちの置かれている状況をどのように把握しているのかというところに組織文化は如実に表れます。

「昔からトップなのだから、多少追いつかれても問題ない」と思うのか、「2位に肉薄されている状況が我慢できない」と焦るのか。

 事実は一つ。ところが、その事実にどう反応するのかは企業によって異なります。

 前者は「現在トップである」という事実を重要視しています。後者は、「トップだが、2位に追いつかれそうな状況」を意識しています。前者の組織文化がトップなら問題ないと考えるのに対して、後者の組織文化は圧倒的トップシェアでないと許されない、といえるでしょう。

 私が主将と監督を務めた早稲田大学ラグビー蹴球部は歴代、「優勝しなれなければ負け」という価値観を共有していました。どんなに善戦しても、準優勝までいっても、日本一にならなければ意味はない。そんな組織文化がありました。

 どのような事実に鋭く反応するのか。ここに組織文化が出るという典型的なケースです。

 シェア以上に、組織文化が顕著に表れるのが予算に対する反応です。

 多くの企業が年間の売上高や利益の目標をブレークダウンした月次予算を策定します。

 実績が月次予算に届かなかったとき、ある企業では上司から強い圧力がかかります。周囲の同僚にも同じような空気が流れ、未達だったことがいたたまれなくなります。それは「予算未達は許されない」という共通の価値観がこの企業の根底にあるからです。

 一方で予算未達でも圧力はほとんどなく、「新型コロナウイルスの影響で」「業界全体が縮小傾向だから」と理由を挙げてうやむやにする企業もあります。あるいは「結果ではなくプロセスが大事。結果は時の運」と考える企業もあります。それが組織文化です。

 大切なのは、こうした反応に良し悪しはないということです。繰り返しますが、組織文化とはその組織の中にある固有の「好き嫌い」や「こだわり」なのです。

『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』第二章より抜粋、2021年4月2日公開記事へ続きます)

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