でも、そういう評論家タイプに限って、弁舌さわやかだったり、白黒ハッキリものを言ったりするから、周りの部下が「この人は本音で語れる人だ」とか「あの課長はほかの人とはちょっと違う」などと勘違いしてしまう。課長ぐらいのときに「改革派の旗手」と言われた人が、偉くなって上のポジションにいくとまったく冴えなくなるのは、このパターンである。いまの民主党と同じで、野党のときは威勢がいいことを言っていたのだけれど、与党になったら全然役に立たない。

 そういう人が会社の中でも意外と多い。この手の野党タイプの人間は、他人のことを辛辣に批判するくせに、たまに自分が批判されるとそれこそムキになってピーピー、キャーキャー騒ぎ立てる。批判されるほど責任ある立場にいたことがないから、実は打たれ弱いのだ。だから権力者になると、急速に疲弊してしまう。

 この点は繰り返しになるが、実社会で起こる現実の問題において、AとBの二元論で語れること、白か黒か単純に判断できることなどほとんどないと思ったほうがよい。難しい問題ほど従属変数が多くて、簡単には答えを出せない。もっと言えば、絶対的な解、みんながハッピーになれる答えは存在しないのである。

 それを白か黒かで語るのは、無責任野党だからこそできることなのだ。責任与党というのは、常に矛盾にさらされている。Aという事業を止めると決めれば、必ずその事業に関わる利害関係者から批判される。だからといって、その事業を続けていてもやはり別の勢力から批判を受ける。八方美人で無責任なことは言っていられない。

野党の批判を聞き流す図太さを持て

 本気で改革やマネジメントをしようと思う人は、野党の批判など適当に聞き逃す図太さがないとダメだ。批判のための批判にいちいち反応していたら、体が持たないのである。