さて、自分自身はどちらのタイプか、あるいは周りの上司や同僚、部下はどちらのタイプか、観察してみるとよい。リーダーを目指すなら、自分自身が与党・主流派タイプの人間であること、そして両者の見極め能力をもっていることが、人と組織を動かす時の基本要件である。

 矛盾することを言うようだが、いざとなったら上司や社長とでも本気でやり合って、改革の志半ばで敗れたらクビにされてもやむなしと腹をくくれる覚悟も必要である。言わば、与党か死か、の覚悟である。そこで簡単に野党に回ったり、会社を飛び出して批判ばかりしていたら、結局は評論家と変わらない。

 むしろ左遷されたときは野党化して騒ぎ立てるのではなく、少し離れた場所から与党の中の人々、実際に権力に関わっている人々の生態をじっと観察することだ。彼らがなにに突き動かされ、どこで躓くのか。

「自民党をぶっつぶす」と言って一気に改革の流れを作った小泉(純一郎・元総理大臣)さんは、もともと保守派の自民党清和会という名門派閥にあったが、親分だった福田赳夫が佐藤栄作の後継争いで田中角栄に敗れて以来、非主流派的立場にあったため、その間に人間観察を続けていたのだと思う。あくまで与党のマインドセットで。だからこそ、自分が総理総裁になったとき、党内基盤をほとんど持っていないにも関わらず、あそこまで党組織を思い通りに操れたのではないだろうか。

 与党として考えて、行動する。リーダーたる者は、そこから逃げてはいけない。本当に最後の最後まで権力を保持し、その権力を使って改革をリードする努力をする。それこそ、職を賭してもやり遂げる、という気魄でやる

 その結果、本当に職を賭すことになるかもしれないが、そこまでやれば他の組織でマネジメントとして十分やっていけるだろう。


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明治維新も第2次大戦後の復興も、革命の担い手はいつの時代も、企業でいえば課長クラス、ミドルリーダーだ。日本も今の混迷期を脱するには、ミドルリーダーの踏ん張りが欠かせない。社長も含めて上司をコマとして使い、最大の成果を上げる程度のハラは必要だ。自分がトップのつもりで考え行動するリーダーにとって不可欠な、合理的思考とそれに基づく意思決定力の鍛え方とは?

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