「2 on 2」と呼ばず、
「ネガティブ感情共有ワーク」にした理由

「2 on 2」をやるときは、会社の制度やルールにひもづけてやると効果的です。

 弊社の場合、リモートワーク開始後に、

「各部署、月の20%の出社にすること。
いつ出社するか、何をするかはチームごとに決めていい。
ただし、対面で実施したほうが成果が挙がる仕事は対面でやる」

というルールがありました。

 そこで、「20%ルール」の中で「2 on 2」を実施してみました。

 まず、「出社して対面で実施するからこそ意味のあることは何ですか?」という質問を全員に投げかけました。

 そうしたら、あるメンバーから、「テレワークが始まってから、ネガティブな感情を言いにくい」と意見が出ました。

 口頭だと伝わるニュアンスでも、メールなどでネガティブなことをぶつけられると怖いと。他のメンバーからも、「チームや個人の成長のためには、ネガティブな感情を含めてすべてを共有することが大事」という意見も挙がりました。

 私自身、「2 on 2」はそれを実現できる絶好のツールになると思っていました。

 ただ、社内では「2 on 2」とは呼ばず、「ネガティブ感情共有ワーク」とメンバー自身から出てきたネーミングで実施しました。

 メンバーへは、××さんが「やりたい」と書いていた「ネガティブ感情共有ワーク」を、すごくいいやり方を教わったのでぜひやらせてほしいと呼びかけました。

 実際にやってみると、あるメンバーから、

「最初は嫌だと思ったけれど、やってみたらみんなの考え方がわかってすごくよかった」

「やってみたら、面白い。自分がこの妖怪とどう向き合うか、見えてくるんです。チームメンバーそれぞれの考え方にも触れられ、他者と自分両方への理解が一気に深まるとても素敵な時間になりました」

 といった感想が寄せられました。

 この「他者と自分両方への理解が一気に深まる」のが、「2 on 2」のポイントです。

 組織の「慢性疾患」は人間で言えば血液循環が悪かったり、他の器官とのつながりが悪かったりするのでしょうが、組織内の互いのつながりが見えてくるのも大きいですね。