組織の慢性疾患の
ポジティブな意味とは
「ポジティブな意味」と聞くと、慢性疾患にポジティブな意味などあるものか、と思われるかもしれません。
私は、組織の慢性疾患は、セルフケアを確立していけば、ポジティブな意味を持ちうるものだと考えています。
これはどういうことでしょうか。
組織で発生する問題は、背後の慢性疾患の存在を知らせてくれるアラートとしての役割を担っています。
前述した負け癖がついた組織の例を考えてみましょう。
確かに、みんなが自分なりに工夫してパフォーマンスを上げようとしない状態はよくありません。
しかし、その問題を掘り下げていけば、背後にこれまでのマネジメントスタイルに関する上司と部下の慢性疾患の様相が浮かび上がってきます。
逆に、問題がないとしたらどうでしょうか。
表向き大きな問題はないように見えても、突如として大問題が噴出する可能性があります。
そう考えると、慢性疾患へのセルフケアの入口を見つける観点から、問題が生じることは歓迎すべきことなのです。
しかし、このように考えることはなかなか難しいのが現実です。
少し前に「ホラクラシー(holacracy)」や「ティール(teal)組織」といった各メンバーのセルフマネジメントによる自律的な組織運営方法が流行りました。
当時、何名もの経営者から「うちの会社をティール組織にしたいのですが、どうやったらいいですか。どんな組織の設計にすべきでしょうか」という相談を受けました。
これは、各メンバーがモチベーション高く、自律的に動いて仕事をつくり出してほしいという願いの現れでしょう。
私はこう答えました。
「お困りのことは、組織の形の問題なのでしょうか。すでに今、取り組んでいることでは何が問題なのでしょうか。何をやったらもっと組織メンバーが自律的になると思いますか」
おそらく組織の設計の問題ではなく、日々の職場の中に解決策のカギがあると思ったからです。