新しいナラティヴが生まれる瞬間
異なるナラティヴを生きている人々が組織の中にはたくさんいる。
その違いから見えてくる異なる解釈の断片を組み合わせ、新たなナラティヴを生み出していく。
これが対話の中で起きていることです。
ある意味、これは物語の「伏線の回収」です。
よい物語には、必ずうまい伏線がありますが、「ああ、こういうことだったのか!」とどんでん返しと伏線が合致したとき、ぐっと物語に惹きつけられます。
対話の過程とは、様々な人たちが見ている現実が組み合わさることで、「ああ、あの発言はこういう意味だったんだ!」「あの出来事って、この観点から考えると、最初は嫌だったけれど、すごく大事な出来事だったね」と違う視点が見えてくるのです。
これが、新たなナラティヴが生まれた瞬間なのです。
そのためには、他者のナラティヴをうまく組み合わせていくことが大切です。
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経営学者/埼玉大学 経済経営系大学院 准教授
1977年、東京都生まれ。2000年、立教大学経済学部卒業。2002年、同大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。2006年、明治大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得。
2006年、早稲田大学アジア太平洋研究センター助手。2007年、長崎大学経済学部講師・准教授。2010年、西南学院大学商学部准教授を経て、2016年より埼玉大学大学院人文社会科学研究科(通称:経済経営系大学院)准教授。
専門は、経営戦略論、組織論。ナラティヴ・アプローチに基づいた企業変革、イノベーション推進、戦略開発の研究を行っている。また、大手製造業やスタートアップ企業のイノベーション推進や企業変革のアドバイザーとして、その実践を支援している。著書に『他者と働く――「わかりあえなさ」から始める組織論』(NewsPicksパブリッシング)がある。
日本の人事部「HRアワード2020」書籍部門最優秀賞受賞(『他者と働く』)。2007年度経営学史学会賞(論文部門奨励賞)受賞。