潜伏キリシタンの思いが込められた
祈りの場、教会を巡る

木造の教会堂としては最大規模を誇る水ノ浦教会木造の教会堂としては最大規模を誇る水ノ浦教会

 五島列島がある長崎県は室町時代からキリスト教が盛んで、多くのキリシタン大名が誕生した地。五島列島にも領主を筆頭に多くのキリスト教徒が暮らしていました。今でも五島列島には50以上の教会があり巡礼旅行に訪れる信徒の姿が。

 2018年7月には五島列島の4つの集落を含む「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産に登録されています。ただし福江島には世界遺産登録の集落はないので、船に乗って北東に浮かぶ久賀島、奈留島へ行くことになります。

明治初期に建てられた旧五輪教会堂明治初期に建てられた旧五輪教会堂 写真提供:五島市

 久賀島は福江島から高速船で約20分の小さな島。世界遺産に登録された久賀島の集落を象徴するのが旧五輪教会堂です。

 豊臣秀吉が発布した伴天連追放令、徳川幕府が発布した禁教令によってキリスト教徒の弾圧が始まり、五島列島でも多くのキリスト教徒が改宗もしくは密かに信仰を守る潜伏キリシタンになりました。久賀島にもたくさんの潜伏キリシタンが暮らしていましたが「五島崩れ」と呼ばれる弾圧により多くの殉教者が…。禁教令明けに建てられた旧五輪教会は、久賀島の集落が歩んできた歴史を物語るあかしです。

 港からはレンタカーもしくはタクシーでの移動になるので、来島前に予約をしておくとよいでしょう。

■旧五輪教会堂(きゅうごりんきょうかいどう)
・住所:長崎県五島市蕨町993-11
・開館時間:8:30~12:00、13:00~16:30(教会守駐在時間※要予約)
・休館:なし(教会守は月曜不在)
・アクセス:田ノ浦港から車で約40分+徒歩約15分
・URL:http://kyoukaigun.jp/visit/detail.php?id=14
※新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、開館時間が変更になる場合があります。詳しくは公式ウェブサイトで確認してください
教会建築の父、鉄川与助の施工教会建築の父、鉄川与助の施工 写真提供:長崎県観光連盟

 久賀島の北東に浮かぶ奈留島は、北部の江上集落が世界遺産に登録されています。江上集落の信徒がカトリックに復帰したのは1881年になってから。1906年に簡素な教会が建てられ、1918年にはクリーム色の外観と水色の窓枠がかわいい現在の江上天主堂が完成しました。この教会は信者たちがキビナゴ漁などで貯めた資金によって建てられたそうです。

 江上天主堂も港からは車で15分ほどかかるので、来島前にレンタカーかタクシーを予約しておきましょう。また福江島から旧五輪教会堂と江上天主堂を巡るツアーが出ているので、そちらに参加してしまうのも手です。

■江上天主堂(えがみてんしゅどう)
・住所:長崎県五島市奈留町大串1131-2
・開館時間:9:00~12:00、13:00~15:30(教会守駐在時間※要予約)
・休館:月曜(祝日の場合は翌日)、第3日曜午後(ミサのため)
・アクセス:奈留港から車で約15分
・URL:http://kyoukaigun.jp/visit/detail.php?id=15
※新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、開館時間が変更になる場合があります。詳しくは公式ウェブサイトで確認してください
県の有形文化財に指定された堂崎教会県の有形文化財に指定された堂崎教会 写真提供:長崎県観光連盟

 世界遺産に登録された2つの集落と教会を紹介しましたが、福江島に点在する教会もなかなかに見ごたえがあるので、こちらを見て回るのもおすすめ。五島市のキリスト教布教の拠点となった堂崎教会はレンガ造りの荘厳なたたずまい。館内は五島列島のキリスト教史がわかる資料館になっています。

 ほかにも白い尖塔が壮麗な水ノ浦教会、日本初のルルドをもつ井持浦教会、ステンドグラスが美しい三井楽教会など10以上の個性的な教会が揃っています。

■堂崎教会(どうざききょうかい)
・住所:長崎県五島市奥浦町堂崎2019
・開館時間:9:00~17:00(11月11日~3月20日は9:00~16:00)
・休館:12月30日~1月2日
・料金:大人300円、中高生150円、小学生100円
・アクセス:福江港から車で約20分
※新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、開館時間が変更になる場合があります。詳しくは公式ウェブサイトで確認してください