リモートワークが長期化している今、わかりあえない上司と部下の「モヤモヤ」は最高潮に達しているのではなかろうか。さらに、経営層からの数字のプレッシャーが高まる一方で、
「早速夜更かししそうなくらい素晴らしい内容。特に自発的に動かない組織のリーダーについてのくだりは!」
「読み始めていきなり頭をパカーンと殴られた。慢性疾患ってうちの会社のこと? すべて見抜かれている」
「『他者と働く』が慢性疾患の現状認識ツールなら、『組織が変わる』は慢性疾患の寛解ツールだ」
「言語化できないモヤモヤの正体が形になって現れる体験は衝撃でした」
職場に活気がない、会議で発言が出てこない、職場がギスギスしている、仕事のミスが多い、忙しいのに数字が上がらない、病欠が増えている、離職者が多い……これらを「組織の慢性疾患」と呼び、セルフケアの方法を初めて紹介した宇田川氏。我々は放置され続ける「組織の慢性疾患」に、どんな手立てを講じられるのだろうか。著者の宇田川氏を直撃した。
本当に必要なのは「抜本的な」変革か?
今、日本は「衰退」という明治期の近代化以降初の経験をしています。
人口減少と高齢化が着実に進展し、地方経済の衰退は著しいものがあります。
私は大学の教員として九州で9年間勤務していましたが、ある程度知られている商店街でもシャッター街になっている光景に大きなショックを受けました。
こうした日本の衰退は、九州だけでなく全国的に進んでいます。
しかし、衰退は急激に訪れるのではなく、変化のスピード自体は極めて緩やかです。
そのため、変化の実感は乏(とぼ)しく、昨日と今日と明日はそんなに変わらないのですが、3年前や5年前と比べると確実に変化しています。
これは企業においても同じです。
多くの企業で実際に起きているのは、明日にも倒産かという切羽詰まった事態というより、売上高1兆円企業の売上が、毎年150億円ずつ減少していく類(たぐい)の危機です。
企業変革の現場にいる人たちは、その変化に気づいています。誰もこのままでいいとは思っていません。そんな人たちと話をすると、
「先生、だからこそわが社は、今こそ抜本的な変革が必要なんです」
と熱く語ってくれます。
しかし、はたして今考えるべきことは「抜本的な」変革なのでしょうか?