リモートワークが長期化している今、わかりあえない上司と部下の「モヤモヤ」は最高潮に達しているのではなかろうか。さらに、経営層からの数字のプレッシャーが高まる一方で、部下にはより細やかなマネジメントが求められる。仕事を抱え込み、孤立無援のマネジャーたちの疲弊度も限界にきている。そこで今回、「HRアワード2020」書籍部門 最優秀賞を受賞した『他者と働く』著者・宇田川元一氏が最新刊『組織が変わる――行き詰まりから一歩抜け出す対話の方法 2 on 2』で、新しい対話の方法「2 on 2」を初公開した。早くもこんな感想が届いている。
早速夜更かししそうなくらい素晴らしい内容。特に自発的に動かない組織のリーダーについてのくだりは!
読み始めていきなり頭をパカーンと殴られた。慢性疾患ってうちの会社のこと? すべて見抜かれている
『他者と働く』が慢性疾患の現状認識ツールなら、『組織が変わる』は慢性疾患の寛解ツールだ
言語化できないモヤモヤの正体が形になって現れる体験は衝撃でした
職場に活気がない、会議で発言が出てこない、職場がギスギスしている、仕事のミスが多い、忙しいのに数字が上がらない、病欠が増えている、離職者が多い……これらを「組織の慢性疾患」と呼び、セルフケアの方法を初めて紹介した宇田川氏。我々は放置され続ける「組織の慢性疾患」に、どんな手立てを講じられるのだろうか。著者の宇田川氏を直撃した。

閉塞感Photo: Adobe Stock

正体不明の組織の閉塞感は、
何が原因なのか

 日本経済は「失われた30年」と言われる低迷を続けています。

 日本企業には閉塞感が充満し、かつての自信や輝きは失われ、硬直化した組織の象徴として論じられることも少なくありません。

 この、なんとも言いようのない閉塞感がずっと重くのしかかっています。

 だんだんと会社の調子が悪くなってきていることには気づいているし、考えられる原因はいくらでも挙げられるが、これといって真因の特定はしにくい。そうこうしているうちに、状況は着実に悪化している。でも、何から手をつければいいのかよくわからない。そんな状況を感じている方は少なくないでしょう。

 変革の必要性を論じるとき、「VUCAの時代(将来の予測が困難な時代)」「不確実な変化が起きている」「先が読めない大きな転機にある」「スピードを上げなければ終わりだ」といった声もよく聞こえてきます。

 突如意外なところから競合が現れたり、技術革新で急速に自社の主力事業が縮小したり、といった急激な変化に対しては迅速な対処が必要であり、今までの取り組みとは違う断続的な変革が必要です。

 そうした問題が出てきたときには、必要に応じて事業構造や財務体質などの抜本的な変革に社運を賭けて取り組む必要もあるでしょう。

 ただし、現実的にはこうした急激な変化に直面することは、そう多くはありません。ほとんどの場合は、昨日と今日と明日がそれほど大きく変わらない日常ながら、長いスパンで徐々に確実に悪化しているといった変化ではないでしょうか。

 たとえば、3年前や5年前と比較すると、明らかに会社の何かがおかしい、新たな取り組みが前に進まない、ギスギスして嫌だ、自分自身も仕事に行くのが前よりもつらくなってきたという実感を持つ方は多いのではないでしょうか。

 問題の自覚はあっても要因が複雑にこじれてしまっているがゆえに、なかなか手をつけられないまま放置され、深刻な問題を招いたりして、長期的には結果的に大規模な変革を必要とする状況になってしまっているのです。