「100:10:3:1の法則」を実践すれば、
ババ物件は掴まない
建築家・不動産投資家
KUROFUNE Design Holdings Inc. 代表取締役CEO
ハーバード大学デザイン大学院で不動産投資と建築デザインを学び、投資理論とデザインの力を融合させたユニークな不動産投資を行う。鹿島建設入社4年目に不動産投資を開始。数々の不動産投資セミナーに足を運び、不動産関連書籍を数十冊読破。そんな中で出会ったメガ大家集団をメンターに持ち、指導を仰ぎながら不動産投資をスタートする。最初に行った東京・神楽坂での新築マンション開発では超狭小地に苦労し、辛酸を舐めつつも独自の不動産投資スタイルを確立する。現在5棟の超優良物件を保有。保有物件の中では投資額が4年間のうちに26倍になったものもある。1982年高知県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科、同大学院卒業後に鹿島建設入社。大学院卒業時にリゾートホテル開発プロジェクトにより早稲田大学小野梓芸術賞を受賞。同社では国内外で建築設計や大規模な都市開発業務に従事。鹿島建設社長賞、グッドデザイン賞、SDレビュー賞などを受賞。2016年、ハーバード大学デザイン大学院(GSD)へフルブライト留学。2018年、GSD不動産デザイン学科を卒業、外資系不動産ファンドでの投資業務を経験した後、KUROFUNE Design Holdings Inc.(デザイン事務所兼不動産ファンド会社)を創業し独立。現在はハーバード学生寮生活で得た原体験をもとに、住まいと学びを融合させた国際学生寮「U Share」を開発運営する。また、慶應義塾大学SFC特任講師、早稲田大学特任講師として「不動産デザイン」について教えている。初の著書に『ハーバード式不動産投資術 資産26倍を可能にする世界最高峰のノウハウ』(ダイヤモンド社)がある。
上田 私はこの本で実践してるのが、第7章の「100:10:3:1の法則」っていうやつです。
広瀬 ああ、上田さんの本でも書いていただいて。
上田 そうなんですよ。これほんとに皆さんおっしゃってて、やっぱりここの部分は、私もやっぱりその当時、学生でしたけど実行して毎週毎週、早稲田の周りをずっと回って、不動産を見てポスティングもしたりとか。
広瀬 えぇ、そこまでやってたんだ。すごいですね。
上田 そう、やってたんですよ(笑)。
広瀬 メチャメチャ気合入ってたんですね。
上田 そうすると意外とお寺さんから、何かメール来たりするんですよ。お寺さんにもポスティングすると、「いや、うちのところにこんな不動産があるんだけど、活用してみないか」とか言われて。で、その当時はまだ資金がなかったんで、「ああ、じゃあ何か見させてください」と言いながら、建築学科の学生だったんで、ちょっと図面引いてみたりとか。それぐらいしかできなかったんですけど。
広瀬 いやあ、いい経験ですね。
上田 はい。でもほんとに一つの行動指針というか、教科書として授けてもらったものだなと思ってます。
広瀬 だいたい何か、あんまりいい買い方できない人って、たいして物件も見ずに、不動産会社の営業から言われるがままに、「最初に見た2、3件見て、決めて買っちゃいました」みたいなところがありますから。「こんなの買っちゃったんですが」みたいな人から、たまに相談受けたりもしますけど。
上田 そうですよね。
広瀬 買ってから相談しても、もう遅いですよね(笑)。
上田 うわ、やっちゃったなって感じですよね。
広瀬 はい。何もできないんで。
上田 結構、そういう相談はありますよね。本の中のNG集でも、ちょっと書かせてもらったんですけど、結局自分たちでつくるのは大変だし、実際に100戸見るのも大変なので、結局「タワーマンション買っちゃいました」みたいな人も多いんですよね、今まで見てこられた方で、これはダメだろうみたいな例とか、そういうのはありますか?
広瀬 別会社で、個人の方の不動産相談を受けたことがあるですけど、ほんと「パッと見て買ったアパートの部屋が埋まらないんですけど、どうしらいいですか?」みたいな相談があって。売っても損が出ちゃうし、家賃を下げて部屋を埋めて、しばらく賃貸で回すしかないなという。それでも駅から15分とか離れてて、埋めるのも結構大変ですよね、みたいな。アドバイスがしにくいですよね。
上田 そうですよね。
広瀬 「買う前に来てください」って言いました(笑)。
上田 分かります。
広瀬 数十件も見れば、それなりの相場観もついてきますし、そんな変な買い物って、逆にしにくいと思うのですが。
上田 やっぱり数を見て、バックオブエンベロープ分析(封筒の裏書分析)で、簡単に指標を1分くらい計算するだけで終わるものなので、それをやっていれば、変なババ物件はなかなか買わないものですけどね。
広瀬 上田さんの本で言われてる「封筒の裏分析」も、多分100件も見てれば、それなりに自分で計算することができるようになると思いますし、僕は僕なりの計算をするんで、その辺はやっぱり、数をこなしてやっていくことができるかどうかで変わりますよね。
上田 ほんとに、そこは不動産投資家としての宿題をきちんとやるかやらないかですよね。あとドルフ・デルースの本の中で説得力があったのは、株とか金融商品とか、他のものと比べて不動産はとてつもなくいい、みたいなこと書かれてたんですけど。広瀬さんご自身は、他の金融商品と比べて、不動産はどう思われますか?
広瀬 私も、やっぱり値段が分からないのがいいかなと思います。株ってすぐ値段が分かっちゃうので、しばらく長期で持とうと思ってても、利益が出たらすぐに売りたくなっちゃいますよね。でも、不動産って何かその瞬間瞬間で値段がはっきり分からないんで放置できるし、そういう意味で長期投資向きなのかなというのは、すごく思いますけどね。
上田 そうですね、確かにマーケットの中ですごく透明性があって、「これはいくら!」っていうダイレクトな数字があるわけじゃないですよね。
広瀬 はい、その不透明さがいいのかなと。上田さんはどうですか? 逆に他の投資に比べて。
上田 僕も断然いいと思ってますね。そのやっぱり中長期の戦略に一番強いので、短気で儲けようとするとやっぱりリーマンショックの時みたいに、買ってすぐに売って利益を出すってことをしなくちゃいけないので、けっこう恐怖感あるじゃないですか。でも、中長期で持ってよし売ってよしだったら、一応持ってる間にも勝手に残債が減っていくので、勝手に家賃が貯金を貯めてくれているという。そこで値段が確かにおっしゃった通りハッキリとは見えないので、このタイミングで売るんだけども、売り先が違うだけで、値段も変わるので、やっぱりそこのコントロールはかなりしやすいな、という感じですよね。
広瀬 売れたら売れたでいいし、売れなかったらそのまま持ってればいいみたいな、そういう作戦もとれますしね。
上田 そうですね。