海外と比べてコロナの感染者数や死者数を人口比では抑え込んでいるはずの日本。ところが経済成長率の見通しは3.3%と主要国で最も低く、世界から取り残されつつある。
日本のワクチン接種回数は他の主要国よりも1〜2桁少なく、接種が完了した人の割合で見ても主要国で唯一1%未満と、ワクチン争奪戦の“敗北”は鮮明だ。
そして4月25日、東京や大阪などで3度目の緊急事態宣言が発令された。なんとしても感染拡大を抑え込み、東京オリンピック・パラリンピック開催にこぎ着けたいのだろうが、再度の経済の冷え込みは避けられない。
業績の二極化進む「K字決算」
上方修正は604社、下方修正は198社
経済の回復の様相は、アルファベットになぞらえて表現されることが多い。
急回復する「V字型」、回復に時間がかかる「U字型」、低迷を抜けられない「L字型」……。そして今のキーワードは「K字型」である。
コロナショックからの回復は一律ではなく、回復する勢力と落ち込むグループへと二極化し、K字を描く。勝ち組と負け組の“格差”が開いていくというのだ。
コロナワクチンという戦略一つで国の経済の先行きに明暗が分かれたように、コロナという非常事態や社会の激変にうまく対応できたかどうかで、企業にも格差が生じ始めている。
その試金石となるのは、5月の大型連休明けに集中する、上場企業の20年度の通期決算だ。
コロナショックの嵐が吹き荒れた20年春から夏にかけて、ほとんどの企業の業績は大きく落ち込んだ。その後の回復度合いは企業によって格差がある。
帝国データバンクによれば、3月を決算月とする上場企業のうち、21年3月期の通期業績の修正を発表した企業は802社ある(2月末時点)。
このうち売上高の予想を上方修正したのは604社だった一方で、下方修正は198社。業績を修正した企業の約75%が上方修正していたのだ。業種別で見ていくと、回復度合いの格差が顕著に表れている。