今の組織には“よそ者”が必要だ

“よそ者”という言葉に、ネガティブな印象を受ける人もいるかも知れません。
しかし、必ずしもそうではありません。

例えば、地方創生や地域の活性化の取り組みには、「よそ者・ばか者・若者が必要」と言われています。よそから来た人だからこそ、古いしきたりやしがらみとは無縁で、地元住民にはないフラットな視点で物事を捉えられる。既成概念や固定観念に縛られずに行動できるというわけです。そしてそれは、ビジネスの世界も同じ。
既存のコミュニティに後から参加する“よそ者”の立場は、たしかにハンディにもなりますが、それ以上に、生え抜きにはできない抜本的なイノベーションが可能という大きなアドバンテージがあるのです。

考えてみれば今の時代、ほとんどの人が“よそ者”と言っても過言ではありません。
新卒入社の3年目までの離職率は3割を超えていると言われ、人材の流動化は進む一方です。またM&Aや経営統合、事業売却といったさまざまな事業再編によって、企業も目まぐるしくその形を変えています。
新卒から長年勤めてきた会社がある日突然合併になり、いつものように出社したら自分は“よそ者”になっていた──なんてことも十分に起こりえます。そう考えると、突然“よそ者リーダー”としてアウェーの現場を任されるといった事態は、誰にとっても他人事ではなくなっているのです。