スタンフォード大学の行動科学者であり、スタンフォード大学行動デザイン研究所の創設者兼所長が20年かけて開発した「人間の行動を変える衝撃メソッド」を公開した『習慣超大全──スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法』(BJ・フォッグ著、須川綾子訳)が刊行となった。本国アメリカではニューヨーク・タイムズ・ベストセラー、ウォール・ストリート・ジャーナルベストセラー、USAトゥデイベストセラーとなり、すでに世界20ヵ国で刊行が決まっている。
「ダイエット」「勉強」「筋トレ」といった日々の習慣から、「起業」「貯蓄」など大きな目標に向かう行動、悪習を「やめる」という行動、さらにはパートナーや子ども、部下など「他人の行動を変える」方法まで、行動の変化に関するあらゆる秘訣を網羅した驚異的な一冊だ。
著者はそれがどんな種類の行動であれ、すべて「能力・モチベーション・きっかけ」の調整によって変化を起こせると説く。本書の理論を頭に入れれば、今後の人生においてとても大きな武器となり財産となるはずだ。
では、具体的にどんな理論であり手法なのか。本稿では本書から特別に一部を抜粋して紹介する。
最強のダイエット法は「スーパー冷蔵庫」
本書の読者の一部は、ダイエットして、さらに、落ちた体重を維持したいと思っているだろう。または、あなたの大切な人がそう思っている場合もあるだろう。
そこで私がこの10年で得た、ダイエットにもっとも効果的な解決策をここで披露したい。名づけて「スーパー冷蔵庫」。
減量は主に、食生活の変化によって実現する。運動にも多くの利点があるが、減量のカギにはならない。
時間と労力を費やして栄養面を工夫すれば大きな成果が得られるが、意志の力に頼って食生活を改善するのは望ましくない。理由は明らかだ。モチベーションを押し下げるベクトルが強く作用したとき、継続が困難になるからだ。
残念ながら、食べ物に関する現代の環境は、良質な食生活を求める私たちの願望には不利なことばかりだ。職場や旅行中や外食時には、望ましい選択肢はかなり限られてしまう。その現実を受け入れなければならない。 そこで私が選んだ方法を公開したい。
食生活を変えるひとつの現実的なアプローチとして、自宅の冷蔵庫を中心に食の環境を再構築するのだ。
私はパートナーのデニーと一緒にさまざまな習慣を変えてきたが、「スーパー冷蔵庫」は家事をめぐる最大級の変化かもしれない。冷蔵庫を見直した効果もあり、二人とも体重の15パーセントの減量に成功し、理想的な体重を何年も維持している。しかも、体重を維持しているのに、そのプロセスはきわめて簡単だと感じられる。