「オリンピックとカネ」ぼったくり契約を“1枚の図”にしてみた!
配置を吟味する
客観的に見て誤解を生まないか、文脈との齟齬が無いかを考察し、取捨選択します。要素の配置を吟味するときは、下図のような図解の「型」を頭に入れておくと、スムーズです。
いくつかアイデアを下書きしたら、どれがベストかを考察しましょう。下図を見てください。
①は開催側が何らかのアクションをIOCに働きかけるような印象を与えてしまいますし、②は与えられる損害が開催側に向かうのも内容とは乖離してしまいます。
今回は③の「相関」を活かした形で進めます。
ブラッシュアップする
要素の配置を文章と照らし合わせながらブラッシュアップします。
「見やすいか」「内容に沿っているか」を、要素の強調・線や矢印の整理・配置の整合性にフォーカスして進めます。
「メモ」アプリをSplit Viewで2画面立ち上げて、左側のラフを見ながら右側でブラッシュアップ、と進めるとスムーズです。
内容と照らし合わせて矛盾がないか確認します。今回注訳を文章でいれています。
図解は「図」と「テキスト」のいいとこ取りが基本。テキスト表現を入れるべきところは無理に削除したり書き変えたりせず、文字の大きさの大小を考慮した上で入れていきましょう。
これで完成です。
いわゆる「契約書」は一字一句精査されていて、細かな注訳も多く、表現が難解なものが少なくありません。しかしオリンピックとなれば、一般市民にとっては、開催国に決定した喜びが大きく、「契約」まで関心がいかないのかもしれません。
しかしながら、事前にこの契約が、わかりやすい図とともに周知されていれば、オリンピックの開催誘致に対する期待感にも影響があったかもしれない。図解しながら、そんなことも感じました。
図解に正解・不正解はありません。どれだけわかりやすく伝わるかがポイントです。興味のある記事を読みながら図解にトライしてみませんか?
日高由美子(ひだか・ゆみこ)
株式会社TAM アートディレクター「えがこう!」代表
東京学芸大学美術科卒業後、日本デザインセンターイラストカンプ部に就職。その後コーセー化粧品宣伝部、ワーナーミュー
ジック・ジャパン編成デザイン部でグラフィックデザインに従事する。1995年より株式会社TAMにてアートディレクターとして勤務。並行して、大阪コミュニケーションアート専門学校非常勤講師としてエディトリアルデザインの講義を行った。絵を描くのが苦手な若手スタッフに「描いて伝える」トレーニングを始め、2015年ごろより社外でもセミナーを開催。「地獄のお絵描き道場」をはじめ、セミナーの総受講者は4000人を超える。グラフィックデザインを通じてのビジュアル構築やグラフィックファシリテーションを得意分野とし、2018年より早稲田大学リカレント教育・WASEDA NEO講師を務める。家電メーカーや外資系ヘルスケア企業・大手銀行シンクタンク・外資系コンサルティング会社などで可視化トレーニングを行う。
重視するのはスピード。「その場で」「なんでも」図解する!
はじめまして。日高由美子と申します。私はアートディレクター(広告やwebサイトなどのビジュアルデザインの責任者)として働いています。
宣伝制作の現場はタイトなプロジェクトが多く、頭の中のイメージやアイデアをブレずに素早く伝えることが重要でした。臨機応変に手を動かし、図解することで課題を明確にし、コミュニケーションをとる。可視化することで説得力も上がり、仕事もスムーズに進みました。
このプロセスを経て、「聞きながら・考えながら」書くことが「スキル」として活かせる手応えを感じました。自分だけのスキルにするのはもったいない。社内のスタッフにもこの技術を伝えたいと思いました。
最初は社内勉強会でしたが、社外からもご要望をいただき始めた「地獄のお絵描き道場」は、開催するたびにキャンセル待ちが出るワークショップになり、のべ4000人を超えるビジネスパーソンに「その場で書いて伝える」スキルを伝えてきました。仕事で実際に活かした受講者の声も届いています。
「説明が上手くなったと、上司から言われました」
「営業資料を検討するオンライン会議で、内容を書きながら共有したら、方向性がすぐ定まりました」
「ふだん議事録を読まない社員が、社内会議に興味を持ちました」
「新商品の開発で、ファン獲得の議論が行き詰まったときに、書きながらブレストをしたら、見過ごしていた問題点が見えました」
この度出版した拙著『なんでも図解ーー絵心ゼロでもできる! 爆速アウトプット術』は、自分の考えや打ち合わせ内容を、その場ですぐ可視化するスキルを解説するものです。「地獄のお絵描き道場」をはじめ、ワークショップでの知見をすべて集約しました。ワークショップの臨場感を出すために、本書は、先生と生徒の対話形式をとりました。絵心ゼロの主人公が、先生の叱咤激励を受け、徐々に「なんでも図解」を体得していきます。
本書を通して、「図解は難しくない」「話しただけではわかり合えないときでも、その場で書けば伝わる」と感じてもらえれば本望です。
本書の主な内容
はじめに 重視するのはスピード。伝わる図を瞬時に書く
INTRODUCTION
・その場で書いて黙らせろ!
・「なんでも図解」5つのメリット
・トレーニングはこう進む!
1日目 「囲み」をマスター! 文字の羅列が一瞬で「図」に変わる
・「なんでも図解」の3大ツール
・囲みでテキストを「図形化」する
・わかりやすさが加速する「囲み」のコツ
2日目 「矢印」をマスター! 関係性を瞬時に伝える飛び道具
・矢印不在の悲劇とは
・矢印はこう書け、こう使え! 流れ、双方向、対立をマスターだ!
・複雑な内容をわかりやすくする「矢印」のコツ
3日目 「人」をマスター! 注目と理解を促す最強のアイコン
・1秒で書ける人のアイコン
・人のアイコンの「2つの使い方」
・喜怒哀楽も1秒で書ける!
4日目 文章を読み、最速で作図する!
・文章を図にする3ステップ
・練習問題1 LINEを図解しよう!
・文章図解トレーニング【初級の6問】
5日目 話を聞きながら図解するコツは「キーワード+余白」
・余白が欠かせない3つの理由
・キーワードをスピーディーに書くコツ
・聞きながら図解するコツ「発言者を明確に」
6日目 会議や打ち合わせでも慌てず図解する
・エリア分けができれば、長い打ち合わせでも図解できる
・3つの型を装備せよ!
・アイコンや絵が多いときこそ時系列を強調
7日目 爆速で書け! アウトプット地獄
・商品やサービスを図解する1「Alexa」
・ビジネスモデルを図解する1「LINE クリエイターズマーケット」
・図解の精度が上がる「5つのテクニック」
・オススメ筆記具
・仕事にすぐ使える 秒で書ける厳選アイコン200
ITエンジニア本大賞2021、グランプリ! 絵心ゼロの主人公と一緒に「なんでも図解」をマスター!
「どうやって図にまとめるか?」も丁寧に解説!