総合トップ3は全て国立教員養成大学
就職実績の厚みが就職後のパワーに

 小、中、高全てを含んだトータルの教員就職者数では、20年のトップ3は全て国立の教員養成大学。1位は大阪教育大学、2位愛知教育大学、3位福岡教育大学、そして5位に北海道教育大学が入った。小学校教師のボリュームが全体を押し上げており、この4大学は5年間合計でもトップ5に入る。

 国立において「旧帝国大学(東京大学、京都大学、東北大学、九州大学、北海道大学、大阪大学、名古屋大学)は教育の発展のための教育学の研究がメイン」と大学通信の安田賢治常務取締役。同じ地域にある教員養成大学が教員養成機能を長らく担ってきたという。そうした経緯があり、国立の教員養成大学は就職実績で強さを誇る。

 一方で国立の総合大学には教員養成に力を入れているところも多い。中でも、前述のような歴史もあって教育の研究と教員養成のどちらも力を持つのが「広島大学である」と前出の安田氏は言う。その広島大学は総合ランキングで20年8位、5年間合計では6位に入る。

 私立では文教大学が20年4位で、5年間合計も4位。これに続く岐阜聖徳学園大学は20年実績、5年間合計のどちらも7位、日本大学はどちらも9位だ。

 文教大学と岐阜聖徳学園大学は大学全体の就職実績において教員就職者数が多いことが特徴になっている。日本最大のマンモス大学である日本大学は公務員就職者数で日本トップというのが大きな特徴で、そこに公立教師も含まれてくる。

 20年実績と5年間合計を見比べると、上位の顔触れに大きな変化はない。小学校教員養成では05年の規制緩和で私立大学が大量に参入しているが、就職においては老舗が数で参入組を圧倒している。

 就職実績の厚みは、就職後のパワーにもつながる。

 例えば地元就職者を多く生む国立教員養成大学は、地元の教育界でOBネットワークが強い。このため「上に目をかけてもらえ、出世のプラスになる」(公立学校教師)のである。

*2020年のデータは20年3月(19年9月を含む)卒業者の就職状況。各大学発表による教員就職者数で、小学校、中学校、高校、特別支援学校、養護教諭、栄養教諭を含む(臨任・非常勤を含む)。大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。「一貫校」は中等教育学校、中高一貫校、小中一貫校の合計。5年間合計ランキングにおいて、大学院修了者を含むか否かの表記は20年のデータに基づく
出所:大学通信。愛知教育大学の2020年のデータは同大学提供
【訂正】記事初出時より以下の通り訂正します。
教員就職者数トップ20ランキング表の大阪教育大学の一貫校就職者数:3(人)→30(人)
(2021年6月2日12:39 ダイヤモンド編集部)

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