40代は30代の延長ではありません。それまでとは違う能力が求められることで、マラソンの折り返し地点のように、走る方向が180度変わる、人生の分かれ道です。これまでの積み上げだけでは通用せず、新たに生まれ変わる覚悟が求められるのです。
40代が最も後悔するのは「時間の使い方」
私は大学を卒業して新卒でリクルートに入社、その後アメリカにMBA留学して、31歳でオーダーメイドの企業研修会社を創業、今年で22年目を迎えます。
リクルートでは新規事業の営業部に配属され、毎日、中小企業の経営者や大手企業の部長に会うのが私の仕事でした。
新規開拓の営業の仕事は雑談が多く、これ幸いに成功するための仕事のコツや人生訓、処世術などについて、会う人会う人に聞きまくっていました。
創業社長や上場を果たした経営者、大手企業の部長までなる人の話はとにかく面白く、特に成功談より失敗談から多くの学びを得ました。成功談は巷(ちまた)にあふれていますが、失敗談はあまり世に出ません。そして、話を聞けば聞くほど、成功談は人それぞれですが、後悔していることは驚くほど共通しているという事実に魅了されました。
それは、まさに「人生の法則」ともいえるもので、彼らが振り返って「こうすればよかった」と後悔していることこそ、逆に人生を後悔しないために「やるべき法則」だったのです。リクルート社内の先輩を含めると、諸先輩のアドバイスや後悔話の数は、ゆうに1万人を超える計算になります。
最も驚いたことは、彼らの後悔が40代に集中していたことです。特にリタイアした人たちが後から考えて「人生の分岐点」だったと考えているのが、20代や30代ではなく、これまであまり語られることのなかった“空白の10年”ともいえる40代だったことでした。
そのエピソードやアドバイスをリストにしてまとめたのが『40代を後悔しない50のリスト』という本です。この本は日本だけでなく台湾、韓国でも出版され、累計16万部を超えるベストセラーとなり、諸先輩たちが人生をかけて体得した集合知を多くの読者と共有することができました。
その後も「30代」「結婚」と年代やテーマを変えて本にまとめてきましたが、実は40代という年代に限れば、最も後悔しているテーマこそ「時間」だったのです。
職場でも家庭でもやるべきことを山と抱える40代にとって、最も扱うのが難しく、悩みが多いのは時間の使い方です。
では、なぜ40代の後悔は、時間の使い方に集中するのでしょうか?