インターン先を選んだ理由と入社までのプロセス

私は従業員数700名弱とやや規模が大きいITベンチャーでインターンをはじめた。

長期インターン先にここを選んだのは、志望企業と同じSaaSと呼ばれるビジネス形態だからだった。そのうえ、インターン先は志望企業の製品を導入していた。それを使いながら、希望しているインサイドセールスという職種の経験までできる。まさに志望企業の内定を見据えた選択だった。

私のようにいきたい企業が決まっているのであれば、そこと同業界かつ近い分野の企業を。業界が何も決まっていなければ興味のある職種で探してみてもいい。インターンを募集している企業は従業員数名から数百名まで様々だ。企業フェーズという観点から探してみるのもいいかもしれない。

12月初旬に長期インターンをはじめると決意し、Wantedlyからインターン先に応募、面接を受けた。合格したのは12月の半ばだった。一度行動を起こしてしまえば、そこからはあっという間に進んでいった。翌月から、私は人生ではじめての長期インターンに挑戦することになった。ワクワク感があった一方で、不安も同時に大きかった。

社会人のなかでは私は何もできないのではないか、自分の現実を嫌でも突きつけられるのが怖かった

アルバイトとは異なる仕事の難しさ

インターンでは、1年前にリリースされたばかりの採用サービスのインサイドセールスを行った。

サービスを導入してもらうために「リード」といわれる見込み客へ営業担当が商談をし、商品を売っていく。その見込み客と営業担当の架け橋となるのがインサイドセールスの役割である。まず資料を請求してきた企業の担当者へ電話やメールでアプローチする。そして、受注につながる質の高い商談をセットするのが主な業務だった。チームごとに3ヵ月間の目標数値が決められていて、それに応じて個人の目標も決まっていた。私の場合は商談のアポイントを何件とる、そのうち何件受注する、という定量的な目標があった。

今までコンビニや飲食店でのアルバイトしかしてこなかった私にとって、なにもかもが初めての経験だった。サービスに興味がある程度の顧客に対して、電話でヒアリングを行う。そのなかで相手の本質的な課題を発見し、解決策としてサービスを提案する機会(=アポイント)をいただく。

コンビニのように、お客さん自らが商品を買いに来てくれるのとはわけが違う。最初は何度も断られた。もともとサービスへの関心度が高い顧客に出会えればアポイントは取れたが、それはほぼ運任せに近かった。何を聞けば顧客の課題が掴めるのかも、そこからどういう話の展開をすれば商談をセットできるのかもわからなかった。そこで待ち受けていたのが、企業で働く責任の重さだった。

「うちはインターンをボランティアでやっているわけじゃない。1人のリードを獲得するために数万円のお金がかかっていることを忘れないでね。」

入社当初に上司に言われた言葉がいつも頭にあった。自分には与えられた目標がある。それを達成できるのだろうか。入社して数日で何事にも成果を求められる現実から、お金をもらって働く意味を痛感した。日々数字を追いかける営業という仕事で避けられないプレッシャーを肌で感じた

コロナ禍でリモートワークへ

さらに、ときを同じくして新型コロナウイルスが流行した。

入社後しばらくして在宅勤務で業務を行うことになった。ひとりきりの自宅から電話をし続けるのは、とてもきつかった。ミーティング以外で会社の人と話すことはほとんどなくなった。ただでさえ、一日中電話するのは精神的な負担になる。社内で交わすコミュニケーションはストレスのはけ口になっていたのだが、それもなくなってしまったのである。また、在宅勤務では誰の目にもふれないため緊張感も薄れる。仕事とプライベートの境があやふやになり、その切り替えが難しかった。