売上が少ないほうが
経営が圧倒的に安定する理由

 A社に勤める人は「同じ利益でも、うちのほうが売上が多い」と言い、B社に勤める人は「同じ利益でも、うちのほうが効率的だ」と言うだろう。この議論は平行線をたどることが多い。

 だが、企業の安定性を比べたらB社が圧勝する。

 本書図表6を見てほしい。

なぜ「売上10倍」は「リスク10倍」なのか?図表6

 不景気やアクシデントなどによって、A社、B社ともに売上が10%下がったとしよう。

 A社の売上は90億円、B社は9億円になる。

 原価と販管費には、売上に連動して減るもの(変動費)、固定的にかかるので売上が下がっても減らないもの(固定費)がある。ここでは変動費は、売上の50%としよう。

 A社の変動費は50億円が45億円と10%下がる。
 しかし、固定費は47億円で変わらず、原価と販管費の合計は97億円が92億円となる。

 B社の変動費は5億円が4億5000万円と10%下がる。
 しかし、固定費は2億円で変わらず、原価と販管費の合計は7億円が6億5000万円となる。

 営業利益を算出すると、次のようになる。

 売上90億円-原価+販管費92億円=営業利益マイナス2億
 *営業利益率マイナス2.2

 売上9億円-原価+販管費6億5000万円=営業利益2億5000万
 *営業利益率27.8

 B社は営業利益が2億5000万円になり、営業利益率は27.8%と高収益を維持できている。

 一方のA社はなんと営業利益がマイナス2億円と赤字に転落した。

 同じ利益であれば、売上が少ないほうがリスク耐性が高いということがおわかりいただけただろうか。