たとえ小さなことでも気になってしかたがない、いつまでも引きずってしまう、他の人から見れば取るに足らないささいなことに反応して心が傷ついてしまうから、毎日が生きづらくて苦しい……そう感じるあなたは、病気でも、おかしいのでもありません。
傷つきやすい人は、敏感で繊細な気質で知られるHSPの人に限らず、内向的な性格の人、心に大きな傷を負った経験のある人、毒親のもとで育った人、アダルトチルドレンなど、いろいろなケースがあります。また、一見、それとは気づかれない、社交的かつ積極的な性格なのに、実は人知れず傷つきやすさを抱えている人も意外に多く存在しています。
みさきじゅりさんは、ご自身もそんな傷つきやすさに長く悩んできたHSS型HSPで、HSP研究の第一人者、E・アーロン博士の専門家認定プログラムを修了したキャリアコンサルタントです。
みさきさんご自身の体験や、傷つきやすさに悩んで相談に訪れた方々に日々アドバイスしていることなどをもとに書かれた著書『とても傷つきやすい人が無神経な人に悩まされずに生きる方法』から一部抜粋・再編集して、HSPの人はもちろん、すべての傷つきやすい人ができるだけ傷つかず、おだやかな日々をすごすためのヒントやコツを紹介します。

高圧的な人に逆らえない……

【無神経な人がイヤ!】パワハラ、マウントしてくる相手に、角を立てずに「ノー」を伝える意外な裏ワザ

立場・口調・態度が強い人の言いなりになってしまい、「都合のいい人」として扱われ、利用されてしまう。心の中では「利用されるなんてイヤ!」と思っていても、結局言いなりに……。そんな辛い状況から抜け出せないでいませんか?

高圧的な態度に出られて何も言えなくなる人は、いじめやハラスメントのターゲットになりやすい傾向があります。

【無神経な人がイヤ!】パワハラ、マウントしてくる相手に、角を立てずに「ノー」を伝える意外な裏ワザみさきじゅり
HSP研究の第一人者エレイン・アーロン博士の専門家認定プログラム、日本人初の修了者。HSP専門のカウンセラーであり、キャリアコンサルタント(厚生労働省認定国家資格)
自身もナイーブな感受性と好奇心の旺盛さを併せ持つ「刺激追求型」のHSP(HSS)。
青山学院大学国際政治経済学部卒業後、東芝に入社。その後、ノキア・ジャパン、シリコンバレーのスタートアップ、アジア系IT企業などで、法人営業、外国人エンジニアの人材育成、大学生就活支援を経験。2017年、キャリアコンサルタントの国家資格取得。
2018年、アーロン博士の「専門家認定プログラム」を修了。アーロン博士のサイトにてHSPに精通しているキャリアコーチとして正式に登録されている。クライアントは日本国内にとどまらず、ヨーロッパ、アジアなどからも訪れる。2018年9月、アーロン博士の講演を含むHSP Gathering Retreatsに唯一の日本人として参加するなど、国内外におけるHSPの最新動向に詳しい。著書に『ささいなことに動揺してしまう 敏感すぎる人の「仕事の不安」がなくなる本』(秀和システム)、監修に『繊細すぎて生きづらい~私はHSP漫画家』(おかだちえ 著 ぶんか社)、『「敏感すぎて疲れやすい人」がおだやかに暮らしていくための本』(中島智子 著 秀和システム)などがある。
<撮影:松島和彦>

何か言わないと、と焦るものの、すぐに言い返せないので、もっといじめられてしまいます。そして、いじめから抜けるきっかけがつくれなくなってしまうのです。

仮にがんばって勇気を出して反論したとしても、相手のほうが上手。いっそう強い口調で責め立ててきます。「反撃」は果てしなく続くように感じられ、こちらはとても勝てる気がしません。

言いなりのままでいると、気持ちが追いこまれ、何も感じられなくなります。冷静に考えることができなくなり、責められるまま、ますます利用されます。

ひどい場合、「おまえはダメな人間なんだ」などと言われ、その言葉をうのみにしてしまうこともあります。初めは「この人、イヤだな」「この人の言いなりになんてなりたくない」と思っているのですが、だんだんとその感覚がマヒしてしまうのです。

本当はイヤなはずなのに、無意識に相手の言うことを優先し、自分の気持ちや本音をガマンして、要求にこたえようと努力を続けてしまいます。努力をやめると自分の居場所がなくなってしまう恐れがあり、苦しくても言いなりになるのをやめられなくなります。

これが、高圧的な態度をとられて弱ってしまった状態です。

相手に許してもらえるまでがんばろうとする

傷つきやすい人は、「自分が悪いから、相手が怒るのだ」ととらえてしまい、許してもらう努力を始めることがあります。「こんな言い方や接し方をしたら許してもらえるかな?」などと工夫をこらすのです。