その他の埋蔵量の上位国は、サウジアラビア(424億㎘)、カナダ(266億㎘)、イラン(247億㎘)、イラク(230億㎘)、クウェート(161億㎘)、アラブ首長国連邦(155億㎘)、ロシア(127億㎘)と続きます。
やはり中東の産油国の埋蔵量が多く、そして可採年数も非常に大きいです。価格は需要と供給の関係で決まりますので、中東諸国が減産すると石油価格は上がります。その逆もまたしかりです。
これが「地政学的リスク」というもので、地理的条件が国家や地域の政治経済、軍事などに与える影響を研究するのが地政学と一般には認識されています。
中東以外でも「油」がとれるようになった
しかし、近年のシェール革命に代表される非在来型石油の商業化や、オイルショック以降に進んだ国際的な石油安定供給の模索により、中東諸国の重要性は低下しました。
非在来型石油とは「従来の油田から採掘された原油ではなく、新技術などによって生産されたエネルギー資源」を指します。以前より、アメリカ合衆国やカナダ、ロシア、オーストラリア、中国、インドといった国土面積が広大な国では埋蔵が確認されていたようです。シェールガスやシェールオイルといった石油代替エネルギーの開発は今後も進むでしょう。
また、日本近海ではメタンハイドレートの存在が確認されており、商業化に向けた研究が続いています。日本は領土内では資源小国ですが、島嶼(とうしょ)国であり経済水域が広いため、実は領海内で考えると資源大国といえるのかもしれません。これらを利用するために一日も早い技術開発が待たれます。
(本稿は、書籍『経済は統計から学べ!』の一部を抜粋・編集して掲載しています)