「gonzo Suzuki」とは、あの有名な音楽教育のメソッド「Suzuki Method」になぞって個人的に(そして勝手に)命名したメソッド法です(公益社団法人才能教育研究<Talent Education Research Institute>が普及推進している活動であり、音楽を通じて心豊かな人間を育てることを目的とする教育法。20世紀の日本のヴァイオリニスト鈴木鎮一氏によって創始され、日本、アメリカなどで教育活動が展開されています。主に、音楽によって子どもの心を豊かにし、自信をつけることを目指しています)。そこで、親も子等と一緒にピアノやバイオリンに触れることが推奨されていることを受けてのことになります。しかしこの冗談が、「実は大きな意味を持っていた」と思えるようになりました。

大人もできない姿を見せ
一緒に学ぼうとする姿を共有する

 子どもは、「親はなんでもできる」と思い込みがちです。が、このメソッドで行えば、「実は親もまた、何かを学ぼうとするときには苦労するものだ」という姿を目の当りにすることになるわけです。

 そうすれば、サッカーなんて1度もプレーしたこともない傍観者に過ぎないのに、ゴール裏からゴールを決めるノウハウを指示するような極端なまで過保護な親になる代わりに、何かを一緒に学ぼうとすることで同胞としての共感、新たな絆が芽生えることでしょう。

 つまりそこで、子どもと一緒に新たなスキルを身につけることで、自分自身にもかつての勇気がよみがえったことが実感でき、さらにすべての事態を前向きに捉える寛容な心を得たことに気づくことでしょう。

 確かにあなたは、子どもを持っているわけですので、ある種、「種の永続」という生物としての目的は果たしたとも言えます。ですがあなたは、タコやカゲロウとは違います。子どもが授かること=そのまま丸まって命を落とすというわけではないのですから。

◇まとめ

 おそらくここで最も重要なことは、そうやって私は、「これから世界へと羽ばたこうとしている、小さな翼の(意欲あふれた)若者を育てている」ということです。そして上手くいけば、将来的に逃避行したいときには、いつでも同志として信頼できる冒険仲間になってくれるでしょう。

 もし子どもを持つとういうことが、自分の中にある「子どもっぽい面」を捨て去らなければならない瞬間であるとするなら、その代わりにこれからは、その子どもが自分の中の新たな若々しい側面を見出してくれる瞬間でもあるのです。

Text by Hikaru Sato and Tom Vanderbilt

冒険心にあふれた子どもに育てる秘訣とは?親も何かを学び苦労する姿を見せよう