どんな時代でも生き残れる不動産投資家になるための極意とは何か? 不動産投資で利益をあげ続けるためには、基本となる知識やノウハウを学ぶ必要があります。ハーバード大学デザイン大学院で最先端の知識を学び、それに自身の体験から得たノウハウをミックスして体系化したハーバード式不動産投資術』(上田真路著、ダイヤモンド社)が発売されました。本連載では、世界のどこでも通用する、遍的で再現性のあるナレッジである不動産投資術について、同書の中から抜粋してそのエッセンスをわかりやすくお届けします。良い不動産をデザインするとは、どういうことか? 驚異のリターンを実現するファイナンスの極意とは? 不動産投資のリスクをどうコントロールしたらいいのか? などについて、実際の事例(ケース・スタディ)を踏まえてそのメカニズムを解き明かしていきます。不動産投資を始めたいと思っている人、すでに始めている人、さらに上を目指したい人必読です。好評連載のバックナンバーこちらからどうぞ。

100万円の実質収益の上下により、不動産の価値自体は上下にプラス・マイナスで2000万円も動くPhoto: Adobe Stock

100万円の実質収益の上下により、
不動産の価値は上下に2000万円も動く

 不動産物件の次の購入者の期待利回り(Cap Rate)で割り戻すと売却価格が想定できるが、高水準で安定したNOIが実現できていれば、必然と売却価格も高くなる。

 具体例をあげよう。

 実質収益が平均的に600万円の物件があったとしよう。この基準となるケースである投資家が期待利回り5%での買付価格を入れるとしたら600万円÷5%で1億2000万円の値付けだ。

 実質収益が100万円下がるということは実質収益が500万円に下がってしまう。この場合でこの投資家が依然5%の利回りを期待した場合は、500万円÷5%で1億円ジャストの値付けがなされる。

 そして実質収益が平均値を超えてプラス100万円、つまり700万円生み出せたら? こちらも期待利回りで割り戻して、700万円÷5%で1億4000万円で、次の投資家は購入したいと考える。

 この差は大きい!

 100万円の実質収益の上下により、不動産の価値自体は上下にプラス・マイナスで2000万円も動くことになる。

 まとめると、BOE分析のスナップショットでもお分かりの通り、投資の「入り口」ではNOI実質利回りをできるだけ高めるために、ハードとソフトのデザインに注力する。そして「出口」では、売却価格を強気で提示できるように、実質収益を高水準で安定させ、期待投資利回りを圧縮して考えてもらえるように物件を創り込むのだ。