某大手金融機関に勤めていた著者は、40歳で早期リタイアを考え始め、2019年に資産1億円を達成。51歳で早期リタイアを実現した。初の著書『【エル式】 米国株投資で1億円』では、FIRE(経済的自立と早期退職)の原動力となった米国株投資術を全公開。基礎の基礎から、年代・目的別の投資指南、最強の投資先10銘柄に至るまで、“初心者以上マニア未満”の全個人投資家に即役立つ米国株投資を徹底指南する。
キャッシュを払ったという事実は誤魔化しようがない
収益性が高くて競争力があることは重要ですが、収益が横這いで安定しているよりも、収益が右肩上がりで成長している銘柄を選ぶのが正解です。
定期的な高配当のみを期待する投資スタイルもありますが、エル流の米国株投資では配当金と、中長期的な株価の上昇による値上がり益の両面でポートフォリオの最適化を図ります。
5年、10年と辛抱強く株を持ち続けても、収益が右肩上がりになってくれない限り、株価の上昇も望めないでしょう。
長い目で見て株価の上昇が望めないとしたら、エル流の株式投資の対象からは外れてしまいます。
成長性があるかどうかを端的に反映しているのは、やはり売上高です。売上高が年々上がっていれば、力強く成長していると考えられます。
前述のように、米国株ではGAFAMのような天文学的な時価総額を誇る大型株ですら、売上高が右肩上がりのカーブを描いて成長を続けています。
それは日本株の大型株にはなかなか見受けられないことです。
多くの人が知っているポピュラーな銘柄に成長性が高い銘柄が多いのも、米国株の大きな魅力なのです。
株式投資をするうえで、投資先の決算書をチェックすることはやはり大切です。
決算書は、企業の経営状況や財務内容などを示した、いわば“通信簿”のようなもの。
損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CS)があります。
決算書は大事なのですが、そこに書かれていることを額面通りに100%信じていいわけではありません。
粉飾はれっきとした犯罪行為ですが、粉飾とまではいかなくても、なんらかの操作が加えられている可能性はあるからです。
財務内容などが少しでもよく見えるように“お化粧”をする企業もあるのです。
投資家が知りたいのは、お化粧をしていない企業の“スッピン”状態です。それを如実に示しているのが「配当実績」です。株主たちに対して、一体いくらの配当金を払ったか(キャッシュアウトしたか)は歴然たる事実です。
キャッシュを払ったという事実は、誤魔化しようがありません。
決算書をどんなに巧みに操作できたとしても、手元にキャッシュがないと、キャッシュアウトできないからです。
配当金が毎年出ており、しかもそれが前年よりも増えている企業は安定性と信頼性が高く、中長期投資の対象となりやすいといえます。
増配を何年続けているかは、ネット検索などで容易に知ることができます。
本書のステップ1で触れたように、連続増配株が多いのは、日本株にはない米国株の大きな魅力です。
増配したという配当実績は、あくまで過去のものです。
状況次第では、この先どうなるかは誰にもわかりません。
しかし、1年や2年ではなく、少なくとも10年以上にわたって増配を続けてきたという実績は評価するべきなのです。
10年以上増配していれば、今年も来年も増配する確率がかなり高いでしょう。
10年という長いスパンで見ると、株式市場はいろいろな試練に見舞われます。
1回や2回は大きな暴落を経験するものです。
2000年から2010年までの10年間には、2000年にアメリカITバブル崩壊があり、2008年にリーマンショックがありました。2010年から2020年までの10年間には、20年のコロナショックがありました。
このように10年に1度の厳しい試練に耐えて増配を続けている企業には、試練に耐えて成長を続ける本質的な価値があると思っていいでしょう。
未来を正確に見通すことはできませんが、10年以上増配を続けているなら、今後も増配する蓋然性が高く、成長を続けて株価の上昇も期待できるのです。