某大手金融機関に勤めていた著者は、40歳で早期リタイアを考え始め、2019年に資産1億円を達成。51歳で早期リタイアを実現した。初の著書『【エル式】 米国株投資で1億円』では、FIRE(経済的自立と早期退職)の原動力となった米国株投資術を全公開。基礎の基礎から、年代・目的別の投資指南、最強の投資先10銘柄に至るまで、“初心者以上マニア未満”の全個人投資家に即役立つ米国株投資を徹底指南する。
米国株のメジャーな銘柄に投資する大きなメリットとは?
株式投資には、隠れた優良銘柄をいち早く見つけて投資し、スポットライトが当たって株価が何倍にも上がるのを待って売り、売買差益を得るという方法もあります。
私が株式投資で最初に大きな利益を得たのは、本書の「はじめに」でも触れたファーストリテイリング(東証一部・9983)です。
フリースの大ヒットでユニクロがブレイクする寸前で、広島証券取引所から東証二部へ市場替えしたばかり。その頃は知る人ぞ知る存在でした。
同じように、札幌証券取引所に上場していた頃のニトリホールディングス(東証一部・9843)を見つけて投資していた人は、きっと大きな利益が得られたでしょう。
日本以上にアメリカには、それこそ“アメリカン・ドリーム”を体現するスタートアップ企業がたくさんあります。
GAFAMだって、もとを正せば若者たちが起業した小さな会社でした。
有名な話ですが、アップルもグーグルも、創業者の自宅のガレージが出発点だったといわれています。
マーク・ザッカーバーグはハーバード大学を休学して(のちに退学)フェイスブックを設立しましたし、ビル・ゲイツはやはりハーバード大学在学中にマイクロソフトを起業しました。
米国株で未来のアップルやグーグルを探して投資する方法もありますが、スタートアップ企業のすべてが成長を続けるわけではありません。
数千という上場企業から、宝の山を探し出すのは大変です。
そんな苦労をしなくても、米国株なら誰でも知っているポピュラーな銘柄への投資で十分な利益が得られます。
米国株のメジャーな銘柄に投資する大きなメリットとして、情報が得られやすい点が挙げられます。
日本企業が決算を発表し、大きな増収増益だったり、逆に減収減益に陥ったりすると、全国ニュースとしてとり上げられます。
ソフトバンクグループ(東証一部・9984)やトヨタ自動車(東証一部・7203)といったビッグネームの決算に、想定外の出来事が起こったら、全国紙の朝刊一面を飾ったり、NHKの朝7時のニュースなどで大きくとり上げられたりするでしょう。
そのあたりの事情は、米国企業でもまったく同じなのです。
GAFAMやプロクター・アンド・ギャンブル(PG)、コカ・コーラ(KO)といった日本人でも知っているような超有名企業の決算などに大きな異変が起こったら、日本でもニュースとしてとり上げられます。
業績だけでなく、新製品の評判や売れ行きといった株価に影響を与える情報も、日本でニュースになります。
米国株に関してはアメリカ人のほうが一次情報を得やすいという側面はありますが、日本人にも馴染みの深いポピュラーな企業に投資していれば、情報不足で投資が失敗するリスクはほとんどないと、私はこれまでの経験から実感しています。
アメリカ人とまったく同じ情報を得られるとはいえませんが、メジャーな銘柄であれば、少なくとも中長期投資のために十分な情報は得られています。
いまは株式投資にもAIが本格的に導入されています。AIは過去の学習に基づいて、無数のデータから瞬時に結論を導いて投資行動を起こします。
そのおかげでAIが本格導入されてから、株価は短期的には説明のつかない奇妙な動きをすることも多くなっています。
日本人がアメリカのポピュラーな銘柄に中長期投資して、短期的な株価の変化をスルーするのは、そうした変な値動きに一喜一憂して踊らされないという意味で、ハンデではなくメリットなのかもしれません。
なお、AI時代においては、決算書の情報に基づいて短期的に他人よりも利益を上げることは難しいと考えています。
つまり、決算書の分析による投資の差別化は難しいということです。