地理とは「地球上の理(ことわり)」である。この指針で現代世界の疑問を解き明かし、6万部を突破した『経済は地理から学べ!』。著者は、代々木ゼミナールで「東大地理」を教える実力派、宮路秀作氏だ。日本地理学会企画専門委員会の委員として、大学教員を中心に創設された「地理学のアウトリーチ研究グループ」にも参加し、精力的に活動している。2022年から高等学校教育で「地理総合」が必修科目となることが決定し、地理にスポットライトが当たっている。本連載は、ビジネスパーソンが地理を学ぶべき理由に切り込んだものである。

インドは「ダイヤモンドと石油の国」、意外な歴史とは?Photo: Adobe Stock

インドの知られざる一面

 インドは近年モータリゼーションの進展(日常生活における自動車の普及)が著しい国です。中間層の台頭による自動車需要の増加を背景としています。

 2014年9月には、ナレンドラ・モディ首相がGDPに占める製造業の割合を2022年までに25%まで引き上げる政策(2013年までは15%程度)、「Make in India(ものづくりはインドにて!)」を発表したこともあって、製造業分野でのディーゼル需要が高まると考えられています。

 そのためインドの原油需要は非常に大きく、インドの輸入1位は原油です(2018年)。国内では備蓄設備の建設が進んでいます。

 また、中東の産油国と物理距離が小さいため、原油の輸入が盛んで、これを原料とした石油精製産業も盛んで、インドの輸出品目1位となっています(2018年)。

 意外に思われるかもしれませんが、インドは「ダイヤモンドの国」としても有名です。

 インド各地にある河川では、古くから硬い石が発見されていました。そのため、ダイヤモンドは古くは「インド石」と呼ばれていたのです。

 原石のままでは「ただ硬いだけ」で、美しくもないただの石でした。「ダイヤをダイヤで磨く」方法はベルギーで発明されます。以来、ダイヤモンドは宝石としての価値を持つようになっていきます。

 ローマ帝国に追われ、流浪の民となっていたユダヤ人は、「軽くて小さいため持ち運びしやすい高価な物」としてダイヤモンドに目を付けました。

 ダイヤモンドの流通には、ユダヤ人が大きく関わっていきます。ダイヤモンドの採鉱、加工、流通で世界的に有名なデビアス社はユダヤ人が作りました。イスラエルの輸出品目1位もダイヤモンド(2018年)です。

 インドでは、かつてほどのダイヤモンドの産出量はみられませんが、依然として研磨、流通、販売の世界的な集散地として知られており、輸出品目3位はダイヤモンドです(2018年)。

(本原稿は、宮路秀作著『経済は地理から学べ!』を編集・抜粋したものです)