中国では、19年に「新エネルギー車」の生産をメーカーに義務付けるNEV規制を導入しているほか、米国は、先にバイデン政権が新車販売における電動車の割合を30年に5割に高める大統領令に署名した。

 また、日本も30年度の燃費規制は16年度比で3割ほど厳しくなり、35年には新車販売を電動車に切り替える方針を政府が示している。

 各国で一様に自動車規制が強化されている。ただ、欧州ではエンジン車を事実上完全に禁止する方針を掲げているのに対し、米国・中国・日本ではハイブリッド車の販売を認めているなど温度差もある。

 脱炭素・カーボンニュートラル実現への自動車の電動化、特にゼロ・エミッション車転換は、世界の国・地域ごとに異なり政治主導の側面もある。最終的には、世界的にBEVやFCEVの普及が目指されることになるだろうが、単に政治的な思惑だけでBEVなどを普及させることには課題もあろう。電池などのコストや発電・充電インフラの課題は当然ながら、何よりも世界各地域のユーザー志向とマッチしているか、という視点を忘れてはならない。

ホンダはGMと連携強化
共通化の推進でコストダウンに

 さて、今回の発表で電動車の方針を強く打ち出したトヨタに対して、同じく電動車化の戦略で大きな攻めの手を打っているのがホンダだ。

 ホンダは、4月に就任した三部敏宏社長が「40年をめどに(HVも含む)エンジン車を全廃」することを宣言している。

 ホンダは、電動車をはじめとするCASE対応において、日本車の中ではトヨタ連合(ダイハツ工業・日野自動車・いすゞ自動車・スバル・マツダ・スズキ)と、日産自動車・三菱自動車連合(仏ルノー)に対して孤立すると見られていた。だが、ここ数年で明確に打ち出してきているのが米ゼネラル・モーターズ(GM)との連携拡大だ。