また、機関投資家が求める絶対利益の「再現性」(好調な結果が運や偶然ではなく、必然的で、再現可能なものであること)を高め、他のファンドとの差別化を図るため、新たな投資手法が次々と登場する。この結果、ヘッジファンドは今では、「絶対リターンを追求する柔軟な投資戦略を持つファンド」という定義が定着し、現代の金融業界におけるキャリアの頂点に立ったわけである。

絶対収益追求のための多彩な戦略と
リスクを抑える様々なスキームとは

 前述したように、ヘッジファンドは様々な戦略を擁する。ここでは、そうした投資戦略の代表的なものを5例取り上げ、簡略的に説明しよう。ただし、これはあくまで戦略のあらましと、そのリスクを説明するためのもので、難解でテクニカルな内容説明は省かせて頂く。

 もちろん、海外ヘッジファンドを実際に購入するに際に必要となるファンドのスキームやメリット・デメリットは、私の著書である『富裕層のためのヘッジファンド投資入門』に詳しく記述してあるので、そちらを御覧頂きたい。また、オンラインで全文を無料公開している筆者の前著『富裕層のNo.1投資戦略』(総合法令出版)でも「ヘッジファンドの各種戦略」を解説してあるので、詳しく知りたい方はご覧頂きたい。

 逆に、ヘッジファンドはどこで、どう買えばいいのかを先に知りたい方は、5ページ目以降の結論部へ進んで頂いても結構だ。冒頭で述べた投資の極意は、「超一流のプロに任せる」ということであり、素人にわかりづらいことは信頼できる専門家に任せることでもあるからだ。

 代表的な投資戦略を簡略的に箇条書きでまとめたのが、以下の5つである。

<戦略1>株式ロング・ショート戦略
 株価が割高か、割安かを判断し、割安な株を買い、割高な株を空売りすることで、市場リスクをコントロールした運用。下落相場でも儲けるための手法である。

<戦略2>グローバル・マクロ戦略
 経済指標を用いてマクロ経済の動向を予測し、株式に限らず、債券やコモディティ(商品)などグローバルのあらゆる市場・商品を対象に、ロング・ショートを織り交ぜて投資する。

<戦略3>CTA/マネージド・フューチャーズ戦略
 CTAは商品投資顧問のことだが、商品先物のほか、通貨、株価指数先物など様々な金融商品に分散投資する。割安・割高などの投資判断にコンピューターを用い、システマチックに運用を行う。