日本企業も国際的な
コーポレートガバナンスの規範に
ブラント・グルテキン准教授
(ペンシルベニア大学ウォートン・スクール)
日本企業は高度経済成長の時期にメインバンクによるガバナンスシステムを構築したと言われています。アングロサクソンの国から見れば相当異質に映っており、コーポレートガバナンスのモデルとしては非常に興味深いと思っていました。
まるで封建時代の親族関係のようで、文化的な側面も感じたものです。当時の日本企業では人材も資源も限られており、メインバンクが支えるガバナンス構造は安定的であるだけでなく、産業発展、経済成長の推進力にもなっていたと思います。
しかし、今の日本企業の株式保有比率を見ると、外国人保有比率は30%以上となっています。この状況では、かつての伝統的なガバナンス体制は機能しません。日本企業は様々な面で、より開かれた存在にならなければならなくなったのです。
株式の50%超を外国人が所有するようになると、今までのように公開会社であるにもかかわらずプライベートカンパニーであるかのように振舞うことはできなくなります。
経営者は政府が主導するコーポレートガバナンス改革の方向性、施策を自社に取り込むことが求められるのです。日本企業もグローバルなコーポレートガバナンスの規範に従うときが到来したと考えるべきです。
従来はあたかも社交場のような環境であったため、株主と深く交流する必要はありませんでした。しかし、グローバルに投資活動を行う投資家が株主になっている以上、日本も国際的な規範、すなわち米国、EUの企業に適用されるような規範に従う必要性が高まっているのです。