「前年対比の数字にはカラクリがあります。昨年はコロナ禍でファミマは独り負け状態だったので、対前年で比べれば今年度の数値はV字回復したように見えるだけ。むしろ問題は、外部から大物CMO(最高マーケティング責任者)を招聘して大々的にキャンペーンを打っているものの、まだ2019年度のコロナ前の数字に戻せていないことにあります」

 ファミマの21年の売上高を19年同月比の数字(下表参照。20年前年同月比×21年前年同月比による推計)で見てみると、決して好調とはいえないことが分かる。

 3月92.4%(7.6%減)、4月93.0%(7.0%減)、5月95.6%(4.4%減)、6月94.8%(5.2%減)、7月94.8%(5.2%減)、8月91.7%(8.3%減)という数字となり、推計ではあるが証言通りの状況だといえそうだ。

 一方でセブン−イレブンの同19年同月比を見てみると、3月99.8%(1.2%減)、4月99.8%(1.2%減)、5月96.1%(3.9%減)、6月100.7%(0.7%増)、7月97.5%(2.5%減)、8月96.9%(3.1%減)という結果だった。ファミマと比較すると回復基調にあるといえるだろう。

 ファミマは昨年、元日本マクドナルドの足立光氏という大物マーケッターをCMOに招聘したものの、まだV字回復というべき成果は出せていないのが現実のようだ。

伊藤忠のファミマ完全子会社化で目立ってきた
「加盟店軽視」の象徴的エピソード

 ファミマが伊藤忠の完全子会社になってから、より目立つようになったのが、「加盟店軽視」の流れだ。例えば前述のシステム障害においても「ファミマ本部が当初、店舗に給与立て替えを依頼したのは、お店のキャッシュフローを考慮しないあまりにむちゃな話だった。フランチャイズシステムを提供する会社としてはあり得ない」」(同前)という。

 システム障害が起きたときの本部の対応は「加盟店軽視」だったといえる象徴的なエピソードだ。