怖い病気は「無症状」から始まる

 健康診断で異常を指摘される場合、多くは「無症状」です。

 日本では、糖尿病患者が約1000万人、そして糖尿病予備軍が約1000万人いるといわれています(※2)。およそ国民の6人に1人が「糖尿病、あるいはその予備軍」にいるわけです。

「予備軍」といえばマイルドに聞こえますが、すでに体がダメージを受けている状態です。糖尿病は最初こそ無症状ですが、放置しておくとさまざまな合併症が起こります。

 血管や神経に障害が出て、目がかすみ、神経の障害により手足がしびれて感覚がなくなります。さらに進行すると、最終的に心筋梗塞や脳梗塞、もしくは透析が必要な状態を迎えます。

 がんも同様です。健康診断の結果を無視したり、検診を受けなかったりすると、がんが転移、もしくは大きくなりすぎて手術ができなくなることもありますその結果、副作用の強い抗がん剤や放射線の治療が必要になってしまいます。

 肥満症、脂質異常症といった生活習慣病も同様です。目立った症状が出るころには、もう「手遅れ」になっているケースが多々あります。

 人間の寿命が延びているからこそ、早めに対策しておかないと、「人生の半分を不自由な状態で生活する」ことになりかねません。

 人生100年時代は、健康こそ最大の資産です。お金や時間がどれだけあっても、健康でなければ意味がありません。自分の体をこまめにケアしていきましょう。

(本原稿は、森勇磨著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を編集・抜粋したものです)

【出典】
※1 内閣府 高齢社会白書 2021年版

※2 「国民健康・栄養調査」の結果 2016年版