そもそもアップルはモノづくりをしていない
このような声はiPodが世に出てきた際にも多くの日系メーカーから聞こえてきました。
また、iPhoneに対して「日本の携帯と比較して電池が長持ちしない」「ガラケーのようにテンキー入力ができない」といった批判を耳にすることもあります。
これらは事実かもしれませんが、アップルの成功要因をモノづくりの発想で語るのは間違いです。
iPhoneの第一世代が発売された2007年から10年以上が経過し、サムスンやシャオミなどの競合が参入したことで、デバイスそのものはコモディティ化が進んでいます。
また、アップルは組み立てをFoxconnやPegatronなどのメガサプライヤーに大きく依存し、部品は日本企業を含む世界中のサプライヤーから調達していることからも分かるとおり、アップル自体でモノづくりをしている訳ではありません。
では、なぜ競合他社製品と比較して高額のiPhoneが未だに高いシェアを誇っているのでしょうか?
それは、アップルが単に製品の機能を高めるのではなく、独自の世界観を展開してきたからです。iPhoneを利用することで世界中のコンテンツを利用でき、世界中のユーザーと繋がることができます。
また、iMacやアップルウォッチなど他のデバイスとの連動をも可能にしたことで、利用者の生活により深く入り込んだ存在となっています。
アップルは、iPhoneというハードウェアを作っているというよりも、デバイスを通して利用者に体験価値を提供していると言えます。様々な機能を付加するモノづくり発想ではなく、最高の体験を提供するコトづくりに秀でていたのがアップルという企業なのです。