恥の中身は「人から認められないこと」への恐れ

 そもそも自分は何を恥ずかしいと思ったのか。
 どうして恥をかいてはいけないと思っているのか。
 考える過程で、恥の周りにくっついていたものが、少しずつ剥がれてきた。
 恥が一瞬で消えたというよりは、ぎっしり埋め尽くされていた「恥の中身」が少しずつ見えてきたという感じだ。

 表面にあったのは、人から認められないことへの恐れ。本当の自分がバレてしまうことへの恐れ。何が本当に恥ずかしいのかと自分に問えば、「ほどほどに生きること」「失敗しなかったように見せること」、むしろウソをついて生きる恥ずかしさ、「このぐらいでいいか」と適当に生きることだった。人にどう思われるかから、本当に恥なのは何なのかに向いてきた。

 真髄に触れてみたいという気持ちがあるのに、その手前で馬鹿にされたくないとか失敗したくないと躊躇してしまっては、成長そのものを阻害している気がした。
 失敗が恥ずかしい。
 その気持ちを克服しないまでも、きちんと向き合っておくほうが、結果として競技力向上につながる。そして、より真髄に近づけるんじゃないかと思う。
 恥というハードルは、一生かけて、越え続けていくものかもしれない。

 次回は、なぜ銅メダリストの僕が「一番を目指す」ことを大切にしていたのかについて、お伝えしたいと思う。

(次回は11月30日更新予定です。)

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