私たちの生活には、いろいろなところで神様の存在を感じられることがあります。身近なところでは、「初詣」。受験生なら「合格祈願」。ビジネスパーソンなら「商売繁盛」。名だたる経営者も、日本の歴史をつくった戦国大名や歴代天皇も、神様を信仰し、力を借りて成功を収めてきました。漫画やゲームのキャラクター名でつかわれていることもあります。もしかしたら、ヒットの要因は、神様のご利益かもしれませんね。
日本には、八百万(やおよろず)の神様がいると言われています。膨大な神様の中から100項目にわたって紹介する新刊『最強の神様100』には、古代から現代まで、めちゃくちゃ力のある神様が登場します。最強クラスの神様なので、ご利益も多種多様。
龍神にまつわるエピソードで今回登場するのはアメノタヂカラオ。怪力の神ですが、そのご利益は繊細な人に打ってつけ。戸隠神社、ぜひお立ち寄りください。

長野在住なら一度は行っておきたい別世界のパワースポット【龍神にまつわるエピソード5】Photo: Adobe Stock

すねた心を引き戻す「力強い愛の手」

長野在住なら一度は行っておきたい別世界のパワースポット【龍神にまつわるエピソード5】アメノタヂカラオ
イラスト/朝倉千夏

 日本屈指の怪力の神といえば、アメノタヂカラオ(古事記:天手力男、日本書紀:天手力雄)。字の通り「手に力のある男」です。天岩戸神話では、天岩戸に隠れたアマテラスが、神々の作戦により岩戸を少し開けてのぞいたところを、脇に隠れていたアメノタヂカラオが引っ張りだしたのでした。このとき、アメノタヂカラオが大きく開けた岩戸は遠くに飛び、長野市の戸隠山になったとされます。これが戸隠神社の起源で、地元の神である九頭龍大神がアメノタヂカラオをお迎えしたのが創建とされます。

 戸隠神社は五社あり、奥社にアメノタヂカラオが、九頭龍社に九頭龍大神が祭られ、両社は隣接しています。

 戸隠神社は、高野山・比叡山と並ぶ霊場でしたが、戦国時代に上杉・武田の争いや、武田軍による寺社や僧坊の破壊で、荒廃します。再建したのが徳川家康で、多くの領地を与え、境内の木々の伐採を厳禁にしたことから、約400年、開発や破壊から守られました。おかげで奥社・九頭龍社は、参道の杉並木がまさに別世界のパワースポットになっているので、ぜひ一度はご参拝ください。

 怪力の神ですが、実は非常に繊細な神です。天岩戸神話は、心が傷つき自分の殻に閉じこもった女性が、自分を取り戻す物語。神々の努力でアマテラスの気持ちが徐々に開いていくわけですが、決定的な役割を果たしたのがアメノタヂカラオでした。

 これは心理学的な話ですが、人が道を外れる原因のひとつは「力強い手」を感じたことがないから。「力強い手」は、愛と信頼を表します。その手になら委ねられると信頼できる世界でこそ、人は真っ当に生きようと思えるわけですね。

 アメノタヂカラオのご利益は、「強い愛」と「信頼」で、すねた心も真っ直ぐに戻すはたらきがあります。人を愛し信頼する心を取り戻すということですね。

【主なご利益】心身健全、仕事開運、身体健全

【こんな人にオススメ!】
繊細な人

*本原稿は、八木龍平著『最強の神様100』からの抜粋し、再編集したものです。