トヨタ労組の立憲切りで
注目の愛知12区

 続いては、愛知12区です。ここは重徳和彦氏(50)と、青山周平氏(44)の一騎打ちになります。これまでは重徳氏が小選挙区を取っていて、青山氏が追う形としての戦いになります。

 重徳氏は元々、自民党の推薦を受けて愛知県知事選挙に出馬するものの大村氏(現知事)に敗れました。その後日本維新の会から国政進出をし、今は立憲民主党に所属しています。

 私は重徳氏と何度か話したことがありますが、弁舌爽やかで人気があるのも納得の人物です。

 一方、青山氏は私と当選同期ですので、その横顔をお伝えしたいと思います。

 大学時代はずっとラグビーに没頭していたこともあり、真っすぐで豪快なスポーツマンです。笑うときは隣の部屋まで声が通り、カラオケではマイクは不要(実話)です。一緒に「いきなり!ステーキ」に行ったときには500グラムのミディアムレアの肉をペロリと食べる男です。

 得意な政策分野は教育で、自身も幼稚園経営の経験があるため、幼児教育には精通しています。安倍政権が幼児教育の無償化を進める前に、何年にもわたり幼児教育無償化の必要性を訴えていました。

 そんな彼は過去の選挙で無党派層を取り込むのが課題だと認識していたそうで、「今回の選挙は思い切る」と意気込み、彼の陣営ではこれまでの選挙のやり方を一新しています。

 まず、選挙事務所。駅前のガラス張りの場所を借りて、キャンプ用品を並べて選挙対策会議をしています。必要な棚や椅子はDIYで作ったりし、その様子をYouTubeなどで配信しているとか。コロナ禍でもあるので集会をせず、街宣車も大きなワゴン車ではなく一人乗りの小さな車を自ら運転して移動しています。選挙に懸ける思いはそれぞれありますが、ここまで振り切って自分の思いを形にする選挙もなかなかあるものではありません。

 愛知県は労働組合が強い地域です。しかし、愛知12区の隣の11区ではトヨタ自動車の労働組合が野党候補を支援しないことが決定し、トヨタ労組出身の古本伸一郎氏が立候補を見送ることになりました。トヨタ労組の組合員やトヨタ関係者は11区に限らず、愛知県内に数多くいますので、こうした動きは周辺の選挙区には少なからず影響を与えるものです。青山氏の振り切った選挙活動がどのような結果に結びつくのか、注視したいと思います。